・ ページ6
.
………目が覚めると見慣れたリビングの天井がうつり、電気の刺すような光に思わず眉をひそめた。
と、同時に……ゆっくりと視界が回る感覚がして、またぎゅっと目を閉じる。
そしてその感覚に、眠る前の出来事も思い出した。
……そうだ………裕翔が出てって、追いかけたら宏太さんのとこにいて………それを見た途端……
宏「起きた?」
涼「っ、こーたさん……っ?」
宏「うん。………顔色はだいぶ良くなったね。ちょっとみせてね……ん、まだ目眩は少ししてるかな?」
え。
………え。
手際よく俺の体の状態を診る宏太さんに、なんだか頭が混乱する。
………まさか宏太さん、ずっと家にいてくれた…?
壁の時計を見ると、時刻は夜10時を回っていて。
起き上がろうとすると、見えている世界が余計に歪んで、ぽすんと宏太さんの胸に俺の体がおさまった。
宏「おっと…大丈夫?もう少し寝てたら?」
涼「んっ……だいじょぶ、です…時間っ…」
宏「いやいや、いいよ隣だし。笑」
それとも起きてた方がいい?
お腹は空いてる?
気持ち悪いとこある?
優しくそう聞いてくる声音とふにゃんとした笑顔に、久しく感じていなかった安心感を覚える。
2人の声も聞こえない……きっと宏太さんが寝かしつけてくれたんだ。
涼「っ、ごめんなさい………2人のお世話まで、全部…………」
宏「いいんだって。むしろもっと頼りな?まだ涼介くんだって高校生なんだから」
ぽんぽんと優しく頭に乗る、俺よりも少し大きな手。
微かに伝わる体温と、その重み。
………ぁ、やば。
涼「っ、………ぁ……」
その温もりと優しさと、包容力と………今まで触れてなかった安心感を触れた途端。
いきなり、堪える間もなく涙になって溢れ出てしまった。
涼「っ……すみませ、………っ」
…止めないと、止めないと。
俺は、お兄ちゃんだから。
小さな弟を育てないとだから。
父さんも母さんもいなくなった世界で、2人を守らないといけないから…
手で拭っても拭っても、涙は引っ込んではくれなくて。
……突然泣き出した俺を、宏太さんは優しく抱き締めてくれて。
そのせいで余計に涙が止まらなくなった。
涼「…ふ………っ、ぅ…っ…」
宏「偉いね、涼介くん。……でも少しは俺にも、頼ってくれていいんだよ」
お隣さんの三兄弟 Fin.
(お話には出てませんが薮くんは医学部設定です、何となく。笑)
632人がお気に入り
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
楠木りずむ(プロフ) - かおりさん» ありがとうございます<(_ _*)>何せ週に2日供給があるので、色々お話は思いついてます…笑 書けるかは分かりませんが気長にお待ちください…!笑 (7月8日 21時) (レス) id: c2c351404b (このIDを非表示/違反報告)
かおり(プロフ) - じゃにの兄弟のお話大好きです!!やまふまかわいい!!笑つづきご検討願います!! (7月8日 20時) (レス) id: fcc852425b (このIDを非表示/違反報告)
楠木りずむ(プロフ) - まろんさん» ありがとうございます…!リクエスト制ではないので確約は出来ませんが、もし気が向いたら検討します…!笑 これからもぜひよろしくお願いしますー! (2022年11月23日 20時) (レス) id: cd22ea486d (このIDを非表示/違反報告)
まろん(プロフ) - 『暗い話』好きです〜!!失明後のお話もみたいぐらい…! (2022年11月22日 20時) (レス) @page12 id: f96bfdb9c3 (このIDを非表示/違反報告)
楠木りずむ(プロフ) - 舞さん» 舞さんいつもありがとうございますー!!頑張ります!こちらでもぜひよろしくお願いします…! (2022年11月5日 22時) (レス) @page2 id: cd22ea486d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ