Parallel World ー３rdー

東郷様 ページ43

東郷side




ハ「東郷、明後日の会食だけど………え、」



社長室に入ってきたハチの声に、PCに向けていた視線を彼に移す。

と、その途端………俺の顔を見たハチが、戸惑うように目を開いて、デスクを回って俺のそばで顔を覗き込んだ。



ハ「お前、大丈夫か？」

東「何が」

ハ「何がって………体調、悪いだろ」



………なんで顔を見ただけで分かるんだコイツは。母親かよ。

いや、それとも………もしかして、それだけ分かりやすいってことか……？



確かに、朝からずっと体が重くて微かに頭痛もする。

目眩も朝より酷くなってて、ぐらっと大きく視界が歪む回数が確実に増えている。

心当たりなんて大ありだ。
ずっと経営の立て直しについて、暇さえあれば寝ないで考えてるんだから。



東「大丈夫」

ハ「大丈夫なわけないだろ？自分の顔色見てからそう言えよな…」

東「明後日の会食が、なに？」



言葉の続きを促すと、はぁと大きくため息を着くハチ。

呆れたような顔をしながら、手に持っていたスケジュール帳に目を落とした。



ハ「……向こうの都合で来週に延期になった。それから今日のミーティングは15時からに変更。さすがにお前は休めよ」

東「休めるかよ」



……休めるわけない。
今後の方針を役員と決める、大切なミーティングだ。

その核ともなりうる社長の俺が呑気に休んでいられるわけないだろ。



デスクを支えにして立ち上がると、またもやぐるんと回った視界。

ふわーっとした頭の中、とんっと何かが当たったかと思えば、いつの間にか近くにハチの顔があった。



……どうやら、支えられているらしい。

その感覚すらも、もはや曖昧で。


ああ、まずいな、なんて妙に冷静に考える。





ハ「まともに立ててもねぇじゃん…無理すんなよ東郷」

東「っ、してない……」

ハ「一旦座れって」



でも、こんな時でも折れてくれないのが俺の厄介なプライドで。

差し伸べられた手をパシッと払えば、支えをなくした体が不安定に揺れて、思わず床に膝をついた。




ハ「東郷っ！も〜……ちょっとでいいから休んでて？仕事調整するからさ」

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