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「総司」
「…………土方さん……入っちゃ、だめですよ」
「大丈夫だ。入るぞ」
遠慮なくがらりと障子をあけた土方は、味付けの単純な粥と調合された薬が乗った盆を手に部屋に入った。
部屋の真ん中には、険しい顔をして目を瞑っている沖田。
微かに顔が腫れ、体にも赤い発疹に点々と染められている。
沖田が薄く目を開けば、病気にも怯えられそうな顔をした土方が見え、思わず口角が上がった。
「そんな顔してると、嫌われますよ」
「何に」
「皆に」
「ふん。嫌っとけってんだ。俺はいつでも受けて立つさ」
「……喧嘩師だなぁ…」
ちなみに、土方や近藤が産まれた天保の時代にも、1度麻疹が流行った。
その前にも、さらに前にも。
波打つように、麻疹の流行は日本という島国を襲っていたのだが。
土方や近藤は産まれて間もなく麻疹に感染し、この時既に免疫があった可能性がある。
そうでなければ、ここまで沖田と接触して感染しないことは、彼らが人間では無い以外に考えられないのだ。
…………あくまでこれは、推測の話だが。
「起きれるか。飯だ」
「…無理です。………喉が酷く痛くて、飲み込めないんです」
「………今日の粥は近藤さんが作った。飲み込みやすいように米を潰して、水を多くして煮てある」
「ずるいなぁ……土方さんだったら良かったのに」
「どういう意味だ」
「近藤先生が作ってくださったなら、食べないと」
「ふん」
へらりと笑う沖田の体を起こすと、分かりやすく首や腕の発疹が見え、そして背中から伝わる高い熱に、土方が多少狼狽えた。
それを見逃さずに揶揄するのが沖田なのだが、さすがにその余裕もなく、促されるままに背中を預けている。
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楠木りずむ(プロフ) - かおりさん» ありがとうございます<(_ _*)>何せ週に2日供給があるので、色々お話は思いついてます…笑 書けるかは分かりませんが気長にお待ちください…!笑 (7月8日 21時) (レス) id: c2c351404b (このIDを非表示/違反報告)
かおり(プロフ) - じゃにの兄弟のお話大好きです!!やまふまかわいい!!笑つづきご検討願います!! (7月8日 20時) (レス) id: fcc852425b (このIDを非表示/違反報告)
楠木りずむ(プロフ) - まろんさん» ありがとうございます…!リクエスト制ではないので確約は出来ませんが、もし気が向いたら検討します…!笑 これからもぜひよろしくお願いしますー! (2022年11月23日 20時) (レス) id: cd22ea486d (このIDを非表示/違反報告)
まろん(プロフ) - 『暗い話』好きです〜!!失明後のお話もみたいぐらい…! (2022年11月22日 20時) (レス) @page12 id: f96bfdb9c3 (このIDを非表示/違反報告)
楠木りずむ(プロフ) - 舞さん» 舞さんいつもありがとうございますー!!頑張ります!こちらでもぜひよろしくお願いします…! (2022年11月5日 22時) (レス) @page2 id: cd22ea486d (このIDを非表示/違反報告)
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