Parallel World ー３rdー

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……船が、宮殿の船着場に到着したのは、そこから1時間ほど経った頃だった。



船がゆっくりと止まると、救護室にいた数名は良くなったようで自力で外に出ていき。

まだ体調が回復してない2名ほども、到着したとはいえ波で多少揺れている船の救護室よりは自室の方がいいと思って、同じ隊の人に迎えに来てもらった。




…ほんとに今日は揺れが酷かったなぁ。

来週の海上訓練は人数も増えるし、もっと忙しくなりそうだぞ………笑



誰もいなくなった救護室の中で、ふぅっと息を吐く俺。





……………ガチャ…




涼「…………ユウト…」

裕「いらっしゃ…………うわ」




しばらくすれば…ようやく待ちわびた彼が、控えめに扉を開けてやってきた。



………いや、控えめに開けた、というよりは。

力が入らなかった、が正しいかもしれない。





裕「ちょっ、顔色最悪だよ……！？一旦袋持って…！」

涼「っ、おぇ…………っ、げほっ…」




あらら……………やっぱり、相当我慢してたな……




袋を持たせてすぐ、待ってましたと言わんばかりに袋に顔を突っ込み嘔吐をしたリョウスケ。

体がふらっと揺れ、そんな彼を支えながら、1番近くにあった椅子に座らせる。




裕「気持ち悪いね…………全部出しちゃいな、焦らないでいいから」



優しく背中を摩る度に、びくんと波打つリョウスケの背中。

嘔吐く声と息遣いだけが救護室に響いて。

………普段は絶対見ることが出来ない、プライドも実力も全てが高い彼の涙が、目尻から零れた。



涼「っ、ぇほ………っ、おぇ、ぅ……っ、ふ………ごぽっ……」

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