人気、急上昇中

▽ ページ25

雄也side



雄「山田が熱…！？」

慧「そうそ。知恵熱かねぇ」



事務所に用事を済ませてから家に帰ると、タオルに冷えピタ、スポーツドリンクを手に階段を登っていく光くんの姿が見えて。

リビングで何やら探している伊野尾くんに聞くと、どうやら山田が熱を出したようだった。




…………まさか、体調にまで影響が出るとは。


本人たちが悪かったとはいえ…………彼らを、そして特にデリケートな山田を突き放すようにしたまま放っておいたことに、少し罪悪感を感じる。




雄「結構重いの？」

慧「んー、どうだろ。俺が部屋に行った時はもう顔も真っ赤でね。いつから我慢してたかも分からなくて。今体温計探してたとこ」




分からない、なんていうものの……きっとこの反応を見る限り、結構高いんだろう。



………あ、そうだ……明日の仕事……

こんな時でも仕事のことが浮かんでしまうことに嫌気が差しながら、翌日の日程を確認する。




慧「…………ごめん、高木」

雄「え？」



……と、思えば。


あまり聞いたことがない伊野尾くんの声に、思わず振り返った。

見つけたであろう体温計を持って、ちょっと眉を下げて笑う伊野尾くん。



慧「いや………こういうのにすぐ気づけるように、一緒に住み始めたのに。医者なのに俺、全然分からなかったよ」




なんて。

彼なりに、責任を感じていたらしい。



これはアイドルである4人の……そしてそれを管理する俺ら事務所の問題なのに。

珍しく罰が悪そうに俯いている伊野尾くんの肩を、ポンっと叩く。




雄「………隠すのが上手すぎたんだよ。我慢した山田が悪い」

慧「……そうかもだけど、それ本人には言うなよ？今山田、お前と裕翔のこと凄い気にしてんだから」

雄「分かってる。…………俺も、悪い。あとで謝らないと」

看病→←▽

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す