* ページ46
.
光「涼介、ついたよ」
そう声をかけると涼介は、ぼやぁっと目を開いて、座席で傾いていた頭を上げた。
先に降りて助手席の扉を開ければ、涼介はふらっとしながらも車から降りる。
車酔いが激しい涼介だけど、今回は寝不足だったせいか乗った途端すぐに寝ちゃったから大丈夫みたい。
そのまま、涼介に誘われるがまま手を繋いで、涼介の母親のお墓まで歩く。
涼「…………っ……」
半歩後ろを歩く、涼介。
しばらくすると、ずずっとしきりに鼻をすする音が聞こえてきて。
光「………大丈夫?涼介………帰る?」
振り返ってそう言っても、涼介は、ふるふると首を横に振るだけ。
また潤んだ目で、グズグズと鼻を鳴らす。
涼介の言っていた「お母さんに会いたい」の真意は、正直まだ分からなかった。
殺されたといえど、育児放棄された相手だ。
人生のトラウマと言っていい。
命日の今日、思い出しては苦しむ涼介を何度も見てきているから、こんな所には来たくないと思っていたんだけどな……
………やがて。
俺の足が止まると、後ろの涼介も足を止めた。
目の前には、立派な墓石。
俺が数ヶ月前にお墓にあげた花がそのままそこに萎れており、周りには雑草だらけになっている。
涼介は、そこに、よろよろと近づいて。
傍で、しゃがみ込んだ。
涼「………っ………ごめ、なさぃ………」
光「……涼介……………?」
か細く、聞こえてきた、そんな声。
震える、小さな後ろ姿。
涼「、はぁ…っ…」
大きく息を吐いた涼介の、真っ白な頬を涙が伝う。
光「涼介…………」
涼「ご、め……っ、ふ………っ、なさ………っ」
ふらりと揺れた体を支えるように、涼介は砂利の上で手をついて。
その体を支えるように、隣に俺もしゃがんだ。
光「涼介、謝らないで」
涼「…ひぅ……っ……お、かあさ……っ」
光「大丈夫大丈夫………」
960人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
楠木りずむ(プロフ) - 舞さん» ほんっっっとうにありがとうございます!!そう言っていただけてめちゃくちゃ嬉しいし励みになります(*´∀`*)これからもよろしくお願い致します! (2022年1月9日 23時) (レス) id: cd22ea486d (このIDを非表示/違反報告)
楠木りずむ(プロフ) - 光空さん» コメント嬉しいです!最初から最後まで本当にありがとうございますm(*_ _)mこれからもよろしくお願いしますー!!ありがとうございました!! (2022年1月9日 23時) (レス) id: cd22ea486d (このIDを非表示/違反報告)
舞 - 完結おめでとうございます!りずむさんのお話がほんっっっっとうに大好きなので、今作も大好きですし、次回作も楽しみです!これからも応援してます!頑張ってください! (2022年1月8日 22時) (レス) @page49 id: 159037070c (このIDを非表示/違反報告)
光空(プロフ) - りずむさん!完結おめでとうございます!最初が六月なんて信じられないぐらい毎月楽しませて頂きました!!わたしも茜さんだっいすきです!!!良かったらまた茜さんの可愛いとこが見れたらなと思います!次作も楽しみにしていました!これからも楽しく読ませて頂きます (2022年1月8日 20時) (レス) @page49 id: dc08ee642a (このIDを非表示/違反報告)
楠木りずむ(プロフ) - JUMPLOVEさん» いつもありがとうございます〜!!楽しんで頂けたようで何よりですm(*_ _)mこれからも頑張ります!本当にありがとうございました! (2022年1月8日 19時) (レス) id: cd22ea486d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ