狼 青 年 〜素顔を見せた彼〜

＊ ページ28

大貴side



ぬくぬく、ぬくぬく。



抱きつく体の異常な熱さに違和感を覚えて額に手を当たれば……案の定、燃えるような温度が手のひらに伝わってきた。



宏「マジで…！？」

裕「ぁ……だ、だから顔がこんな真っ赤に…」



照れてただけかと思った…とよく分からんことを言う裕翔を尻目に、高木が俺と同じように山田の額に手をピトッと当てる。



雄「……山田ぁ……無理するなよ、体辛いでしょこれ」

宏「熱結構高そう？」

大「うん」

涼「………ねつ、なぃよ……？」




熱があるのは確実なんだけど、山田はキョトンとしたように、薮くんを見つめていて。

でもその目は、いつもよりうるうると水分を含んでいる。

一度気づくと、それはもう病人にしか見えない。



…これ収録無理じゃね………？




裕「ヤマ、我慢しないでいいよ？」

涼「…してないよ…？ねつ、ないもん」

雄「でもさ、ちょっとしんどいなぁとか思わない？」

涼「ううん、今日、たのしいねっ」




……当の本人はなぜだかニッコニコですけど。



いつもと違うのは間違いない。

もしかしたらこれは、本当に熱を自覚してないやつかもしれない……え、そんなことある……？？




宏「うーん……涼介、今日、踊れそう？」

涼「ん？」

裕「この後、歌って踊ります。カメラでそれを撮影されて、再来週テレビで放送されます。出来る？」

涼「んー………………あのね」





このままの山田のテンションなら、できるよっ！なんていうかと思ったけど。

そうではなさそうな山田の言葉に、皆が注目した。






涼「今日、楽しいけどね、でも……」

大「でも？」




涼「でもね………踊るのは、ちょっと……やだ…」

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