狼 青 年 〜素顔を見せた彼〜

番外編LAST〈特別な日〉 ページ43

光side



…………朝。


ご飯を作っていれば、足音をあまり立てず、そろそろとリビングに入ってきた涼介。

…それは別に、いつも通りだった。

涼は遅刻をすることもないし、基本静かにのんびりと過ごしているから。



光「おはよう涼介」

涼「………うん」



…けど………なんだか、ふわふわしていて。

寝起きだからっていうのもあるかもしれないけど、いつも挨拶くらいはちゃんと返してくる。


熱がある……てわけでもなさそうだ。




光「涼介？……どうかした？寝れなかった？」

涼「…んーん」



否定はするくせに。


ソファに座ってテレビを見る…といういつも通りの行動はせず、そのままキッチンに入ってきて俺の背中にくっついてきた涼介。

ぴょんっと跳ねる寝癖をつけながらうりうりと額を押し付けてくる涼介に、思わずふっと笑いがこぼれる。




光「痛い痛い笑 大丈夫ですかー？」

涼「…ひかぁ……」

光「んー？」

涼「…………ひか……」

光「何さ何さ」

涼「…………んー…」



……なんだなんだ。なんなんだ？？


確か前に、不安になってぴたっとくっついてくることはあった。

けど、ここ最近で何かあったわけでもなさそうだし、これから何かあるわけでも…………







あ。



あるわ、涼介にとっての大きな出来事。








光「…………そっか……今日だったね」

涼「………」

光「まだ寝てても良かったんだよ？」

涼「っ、やだぁ……………」

光「そかそか。じゃあ今日はのんびりしてよーね」




今日は、11月17日。



…………7年前の、今日。








涼介の母親が、亡くなった日だ。

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