終演後 ページ40
裕翔side
涼「っ………」
裕「っ、おっと…!大丈夫?」
舞台上に捌けると、直ぐに始まった他のアーティストさんのステージ。
そしてそれと同時にヤマは、突然力が抜けたように、すとんとその場に座り込んだ。
そのまま後ろに倒れそうだった上体を、慌てて後ろから支える。
裕「ヤマ?聞こえてる??」
涼「っ、ん、……ぅ…………」
後ろからフードの下を覗き込むと、泣いたせいか少し腫れぼったくなった目は、ぎゅっと閉じられていて。
眉間に寄った皺と、苦しそうな呻き声が聞こえた。
…俺の声、聞こえてないかな…………
宏「……貧血か…?」
裕「かも。俺運ぶよ」
……とは言うものの、力の抜けたヤマを背負うのすら大変で。
声をかけても反応しないから、背中に思うように乗ってくれない。
薮くんにも手伝ってもらって、だらんと垂れた頭を肩に乗せて。
何とか俺の背中に乗ったヤマは………俺が少しでも力を抜くと、ズルズルと背中から落ちてしまいそうだった。
俺の肩から、脱力してぶらぶらしたヤマの腕が床にのびている。
宏「雄也と大ちゃん多分まだ舞台袖だから呼んでくる」
裕「うん。………ヤマ、動くからね?」
……ゆっくり、慎重に。
声をかけても唸るだけのヤマを、出来るだけ揺らさないように楽屋へと向かった。
…………きっとこれは……緊張が、一気に解けたからだろう。
頑張ったもん、ね。
裕「いっぱい、休もうね。ヤマ」
涼「ぅぅ………っ、ん………」
.
雄「山田大丈夫?」
裕「うん、さっきよりは」
大「水買ってきた。薮くんが今秀さん呼んできてる」
5人が楽屋に集まった、ステージ後。
ヤマをソファに寝かせてしばらくすれば、固く閉じた目を、本当に少しだけ開けた。
涼「……ゆ、と………」
裕「ヤマ、目開けないでいいよ?」
ふるふると首を横に振ったかと思えば、震える手をこちらにのばして。
…………その手を取ると………安心したように顔を綻ばす、ヤマ。
雄「………皆、褒めてくれたよ。山田」
涼「ん……」
雄「頑張ったね」
高木くんが、優しく囁くようにそう言って、横になるヤマの頭を撫でる。
目を細めたヤマは、ほんの少し不安は見え隠れしているけど、ちょっとは安心できたようだった。
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楠木りずむ(プロフ) - 光空さん» ひい…でもそう言っていただけてちょっと嬉しいです…笑 ありがとうございます!まだ続きますので、これからもぜひよろしくお願いいたします(*-∀-*) (2021年11月18日 0時) (レス) id: cd22ea486d (このIDを非表示/違反報告)
光空(プロフ) - 完結すると聞くと悲しくなって来ました(泣)移行先でも楽しみにしてます!!!更新頑張ってください! (2021年11月17日 23時) (レス) @page46 id: dc08ee642a (このIDを非表示/違反報告)
楠木りずむ(プロフ) - 柊さん» ありがとうございます!笑 私も「やだやめて!可哀想!」って思ってます(え)どうかぜひこれからもよろしくお願いします……笑 (2021年11月1日 19時) (レス) id: cd22ea486d (このIDを非表示/違反報告)
柊(プロフ) - お願い!悲劇はもう止めて!作者様のことが一瞬嫌いになりそうなくらい今ドキドキハラハラしております。お願いです、無事に紅白踊らせてあげて下さい……。(作者様とこの作品は大好きです) (2021年10月31日 21時) (レス) @page23 id: 9a230f5c32 (このIDを非表示/違反報告)
楠木りずむ(プロフ) - JUMPLOVEさん» お返事遅くなって申し訳ないです…!そう言っていただけて嬉しいです、ありがとうございます! (2021年10月28日 9時) (レス) id: cd22ea486d (このIDを非表示/違反報告)
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