狼 青 年 〜フードを外した素顔〜

＊ ページ37

光side




「……なぁ………今の、ほんとに涼介なの…？」

「信じらんねぇ……」



侑「どれっ！どれがりょうすけ？」

慧「これ、このまんなか。でしょ？」




光「………あ……うん」






……………思わず。




呆然としたまま、口が開いた。





見ている画面は、警察の方のタブレット。

テレビはまだ使わせて貰えないために、ネットでの状況からこの家のひとりが茜だということを察してくれた方が、こっそり貸してくれたものだった。



けど。

その画面だけでも、Honey Beeのパフォーマンスの精度の高さは分かった。

文化祭のものなんかより、もっとずっと良い。

気迫を感じるような……圧巻のステージだった。



何より、驚いたのは。



涼介が、今のこの状況に全く怯んでなかったところだ。






俺が知らない間に………俺が思ってる以上に、涼介は強くなってた。
きっと、Honey Beeのおかげだろう。




………すげぇ。

まじで、すげぇや……






『最初のパフォーマンスはHoney Beeさんでした！今注目のHoney Beeさんですが…テレビでのステージは初ということで！』

宏『今回は応援団として参加させて頂いたので……皆さんの力になれたらな思って全力でパフォーマンスさせて頂きました！皆さん頑張ってください〜！！』




後ろにいる多くの一流アーティストに、臆することなくそう言って振り返る薮くん……もとい、蓬。


それに合わせて、皆も後ろに向かって手を振ったり、拳を上げたり。





侑「……りょーすけ、げんきない…」





……そんな中……1人だけ、動かずにじっとしていたのは、確かに涼介だった。






宏『ここでですね、茜からもエールの言葉があるみたいなので！』





…………え。

涼介の、言葉…？


まさか喋るとは思わず、思わずタブレットを持つ手に力を込めた。

他の4人も、のめり込むように画面を覗き込み、その姿を見ている。




予定にもないのか、少し司会者の方もスタッフさんとアイコンタクトを取っているのがわかって。




………それでも、涼介は……


薮くんからマイクを受けとった。






涼『……あ………っ、茜です』

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