狼 青 年 〜フードを外した素顔〜

＊ ページ15

裕翔side



車の中でパーカーに着替え、顔を隠すようにフードを被る。

どのアーティストさんにもスタッフさんにもバレないように、ここは念入りに。

そのまま車を降りて……初めてのNHKに入った。




紅白歌合戦の、リハーサル。

メディアも注目してるからカメラも見えるし、どこを見ても有名人がいて。

フードを被る俺らはかなり印象が良くないと思うから、その分挨拶をしっかりと。




ありがたいことに、俺らを知ってくれてる方もいて。

有名な歌手の方やアイドルの方に声をかけられる度に……嬉しい反面、本物だ！という素人丸出しの思考しか出てこない。



ど、どうしよう………


ほんとにきちゃったよ…！！




大「ねぇ、あの人昨日テレビ出てたよねっ」

宏「ばか。……俺らも明後日はテレビに出るんだぞ？」

裕「………うわぁ〜っ今のひとことすっごい！さっすが蓬さんですねぇ〜」

宏「やめろ恥ずかしい笑」

涼「………」

秀「静かにしなさい、他の方もいるから…笑」



緊張は、リハーサルの前なのにもうピーク。

その緊張をほぐすように話していたけど、秀さんのひとことで余計に緊張が全身を回る。



……ヤマに至っては……高木くんと手を握ってないと歩けないくらいに自分の緊張と戦うのに必死みたいだ…笑

なんかヤマを見てたら、むしろ緊張ほぐれてきちゃったよ。





雄「茜、大丈夫？ちょっと息早いねぇ」

涼「…………」

裕「それどころじゃない、と、申しております」

秀「もーちょっとリラックスして欲しいな…まだリハーサルだし」

涼「……んん……っ…リラックス…」






宏「…光さんとこ連絡してみる？」

大「いいんじゃない？親代わりの八乙女さんと話したら落ち着くかも」





……とはいえ、とりあえず楽屋つくまでは、ガッチガチのヤマには頑張ってもらうしかない。

迷子になったりぶつかったりしないように、かなり目立つけど汽車ポッポの容量で一列になって。





雄「俺先頭めちゃくちゃ恥ずかしいんだけど……」

秀「先導する俺の身にもなってくれ」

宏「まぁまぁ。はーい、茜くん、進みますよぉ」

大「ますよぉ〜っ」





普段なら顔を真っ赤にしてそうなヤマだけど、この状況を分かっているのかいないのか…笑


ぽやぽやしたヤマを真ん中にして、楽屋までぞろぞろと歩き出した。





裕「出発〜？」

涼「………？」

裕「進行〜っ！」

涼「……………しんこう」









(※もちろんめちゃくちゃ視線を集めた)

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