狼 青 年 〜フードの奥の素顔〜

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涼介side



きゅっと握る掌は、手汗のせいで気持ち悪かった。


それでもこの緊張を逃す手段がなくて、もっと強く握る。




………合宿のときは、蓬さんって呼んでた。

俺も、皆のことも。

Honey Beeを、Honey Beeとして扱ってくれた。





なのに。

今の秀さんは、俺らを……そうは見ていない。




もっともっと踏み込んだところに、入ってこようとしている。

表現の仕方は悪いけど、そんな気がした。





秀「……全部」

涼「っ……」

秀「…は、まだ分からないけど。これから知っていきたいと思ってます。今わかってるのは、蓬の本名と年齢かな」





雄「え…俺らのことは知らないの？」

宏「ほかのメンバーのは了承得てからにしようと思って。ここまで秘密にしてきた事だし」

秀「文化祭云々で、高校生だってことは分かっちゃったけどね」






……まだ俺のことは……知られて、ないんだ。




ほっとしたのと同時に、これから知られていく恐怖。

俺らのコミュニティに、別の人が加わる恐ろしさや不安。



無意識に、ポケットに入れていたラムネの容器に触れていた。






大「俺、全然いっすよ！」

雄「俺もいいかな」

裕「うん、俺も別に……」





………どうしよう。



この流れは、完全に………



俺だけ言わないなんて、不自然だし。

みんなが行った情報を、万が一秀が漏らして…万が一、世間に広まって………万が一、あの人の耳に届いたら。






涼「俺っ………」









裕「…………あー、俺やっぱNGで。ちょっとまだ勇気が笑」

宏「…うん、そっか。茜もかな？」

裕「俺と茜はもう少し待ってください」







………え…………






どうしようどうしようと、頭の中で焦っていれば。



突然、そんなふうに話が進んで。

………ぱちりと合った視線に…裕翔はほんの少しだけ笑った。






助かっ、た……………？

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