狼 青 年 〜フードの奥の素顔〜

＊ ページ44

大貴side



そう言えば………


確かに山田は、踊ってる時はそんなに感じないけど、踊り終わったあとは誰よりも息を上げてるイメージだ。

それなのに自主練で追い込むから、こっちが心配しちゃうほどに。




涼「やだ………かえる………っ」

雄「帰らない帰らない笑」

裕「まぁ、具合悪いから早退…とかもできるけど…」

涼「………それもっ…やだ…」





やだ、と言ってももちろんやらなきゃいけないわけで笑

本当に嫌いなんだろう、既に目を少しだけうるませて口をへの字にさせている。



早退してしまいたいけど、それだとキャラに合わない…という山田なりの葛藤もあるんだろう。

…………これ、体育の授業どうしてたの？？






宏「行ける？涼介」

涼「……………………ん…」

宏「んな泣きそうな顔すんなって笑 ゆっくり皆で行こ？」





何とか説得してトイレから出た俺たちは、いっそ歩いた方が早いんじゃないか、と言うくらいのペースで走り出した。

もちろん後ろからは多くの人が通り過ぎるわけだけど、そんなことも気にせず。

山田はトイレから1歩出ただけで、教室で見せる“一軍の顔”を見せ、いつもよりヘラヘラと笑いながら走っている。




…疲れやすいの、これも原因のひとつなんだろうなぁ…笑

こんな大声出す山田、めちゃくちゃ久々に見た…




裕「にしても本当に寒いね」

涼「絶対意味無いと思うこのルール！先生たちは長袖着てるくせにさぁ…！」


「山田ー？聞こえてっぞー。口じゃなくて足動かせー」


涼「あはっ、すんませーん笑」



………なんというか……物凄い違和感……笑









.









涼「…っはぁ、トイレ……いく……」

雄「え、あとちょっとだよ？もうあそこゴールだよ」



涼「…………ん…〜っ…！」

雄「ごめんごめん！入ろう！笑」




人通りもかなり少なくなった頃、何度目か分からないトイレタイム。

去年も持久走あったけど、遥かに楽してる気がする…


そう思いながら、トイレに入って早々座り込みそうになった山田の体を慌てて支えた。




大「ちょっ……トイレだよ？座るのはやめとこ」

涼「…つかれたの………」

大「疲れたね笑 でも汚いからさ」

涼「…………うん………はぁっ…」




そんなに速度は出してないのに、上下する肩を押さえるように息を吐く山田。



多分あと、300mもないけどなぁ……笑

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