息切れ ページ42
裕翔side
秋の文化祭を終えた途端、急に冷たくなったような気がする空気。
それはどんどん気温を下げ、あっという間に冬が見え隠れし始めた。
風が、枯葉と共に地面を這い、意味の無いように思える学校の規則のせいで晒される俺らの両手両足を容赦なく痛みつけていく。
裕「さむ……こんな中で走るのぉ…?」
はぁ、と冷たい息を吐けば、レンズ越しに白い息が空へと登ってやがて消えた。
…………年に一度の、持久走大会。
正直俺は、持久走大会なんて意味が分からない。
持久力なんてつけたい人が付ければいいし、将来に直結するかと言ったら、する人なんてほんのひと握りのはずだ。
涼「…まぁ、トレーニングだと思えばさ…っ」
……奇しくも俺らは、そのひと握りの中にいる訳だけども。
うちの持久走大会は、電車で数分の場所にある大きな公園を用いて行われる。
男女も学年も合同で、公園内を男子は3周、女子は2周することになっていて。
別に苦手という訳では無いけど、苦しいだけだし好きでもない。
何故か寒い中やらされるし。
文化祭と持久走の開催時期、逆の方が丁度良くない??
「あっ!山田じゃん!中島も!…お前ら遅くねぇ!?笑」
心の中で愚痴っていれば…聞こえたそんな声。
振り返れば、いつもヤマといるクラスメイトが、元気そうに手を振っていた。
「俺らより前でスタートしたよな!?授業の時からタラタラ走ってるしコイツ笑」
涼「っるせぇなぁ〜、景品もないのにマジになれっかっての!!」
「勿体ねぇ〜山田速そうなのに!」
「短距離早いもんなぁ」
涼「っ……はは…、まぁな!」
あ……
そろそろキツそう………かな?
裕「ヤマごめん、トイレ行っていい?」
涼「あ…っ、うん、じゃなお前ら!」
「ビリはやめとけよー笑」
涼「わぁってるよ…!笑」
軽く手を振って、そばにある公園内のトイレに入る。
するとヤマはスイッチが切れたように片手を肘につき、もう片方の手を胸にあて。
大きく肩を上下させた。
裕「…大丈夫?」
涼「んっ……はぁ、ごめん…っ…」
………そう。
ヤマは……実は長距離がかなり苦手、らしい。
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楠木りずむ(プロフ) - おいもさん» 遅くなりました!ありがとうございます( *´艸`)クールですかね!?確かにシリアス要素はここのところ多かったかもしれないです笑 これからもよろしくお願いします!m(_ _)m (2021年9月30日 8時) (レス) id: cd22ea486d (このIDを非表示/違反報告)
おいも - 移行おめでとうございます!なんか他の作品とは違うクールな?JUMPの小説が読めてワクワクしています!更新、頑張って下さい! (2021年9月26日 11時) (レス) @page33 id: 6132dfa9c7 (このIDを非表示/違反報告)
楠木りずむ(プロフ) - 舞さん» 舞さんありがとうございます!秀さん、実は度々別のお話にも出てます…( *´艸`)気づいてくれて嬉しいです!ありがとうございます! (2021年9月7日 9時) (レス) id: cd22ea486d (このIDを非表示/違反報告)
舞 - 移行おめでとうございます!いきなりなんですけど、青山秀さんって、「マネージャーの、山田です。」の、あの秀さんですよね!?名前を見て思わず飛び上がってしまいました!これからも更新頑張ってください!応援してます! (2021年9月6日 23時) (レス) id: 79e1dd5dee (このIDを非表示/違反報告)
楠木りずむ(プロフ) - JUMPLOVEさん» ありがとうございます!!そう言っていただけて本当に嬉しいです……これからも頑張ります!ありがとうございます(*´▽`人) (2021年9月6日 20時) (レス) id: cd22ea486d (このIDを非表示/違反報告)
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