狼 青 年 〜フードの奥の素顔〜

当日 ページ19

裕翔side



とうとう、文化祭当日。

今日明日で、俺らHoney Beeは5校の文化祭や学園祭でパフォーマンスするため、秀さんが家まで迎えに来てくれた。

車に乗り込めば、既に全員が揃っていて。

ヤマは酔ってしまったらしく、薮くんの隣で眠っている。



……ちなみにヤマは、薮くんちに泊まったらしい。
まだ秀さんへの警戒心が、完全には取れていないようだ。





大「寝れた？」

裕「んー……あんまり。笑」

大「俺も笑」

宏「なんだかんだで、人前で披露すんのって初めてだしな…」





……思えば、そうだ。


いつも前にあるのは、カメラか、トレーナーさんか振り付けしてくれた方……

実際俺らを応援してくれてる人を前に披露するのは初めて。





大丈夫かな……声出るかな。
振り飛ばないかな…
何かトラブルとか起きた時、対応とか……





雄「んな不安そうな顔すんなよ。……楽しもうぜ」



ぐるぐる考え込む俺に、ポンっと肩を叩いた高木くん。



裕「……そう、だね。…うん。楽しも」



半ば、自分に暗示をかけるように…俺も、そう呟いた。









.









秀「1校目つきましたよー！」



……そんな声に、ぱちっと目を開けた。



…………あれ……寝てた…？




秀「ほら、皆フード被って！……もう外、かなり人いるよ」

雄「え、マジ…？」



秀さんの声に外をちらっと覗くと……確かに見えた、見慣れない制服の集団。

色とりどりのTシャツに、女子はメイクなんかもしてる。

その雰囲気はお祭りそのもので、その場にいる人皆テンションが高いのが分かって。

駐車場から裏口に続く道は確保されているけど、その周りには多くの人が集まっている。




………すげぇ……こんなに………




秀「ほら！次車に乗るまでは常に見られてると思いなね。……君たちは今、普通の男の子じゃないんだから」



準備できた人から降りて！と、後部座席のドアが開いて。

……秀さんの言葉に、気を引き締め直す。




そうだ。

俺たちは今、普通の男子高校生じゃない。

Honey Bee、そして空というアーティストなんだ。






宏「行ける？」

涼「行ける。……行く」

雄「ん、行こう」

裕「うん」

大「降りるよ」








………開いたそのドアから、導かれるように降りれば………






「「「キャーーーーっ！！！」」」

「「「うわぁーーーっ！！！」」」




……大きな歓声が…すぐ側から、聞こえてきた。

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