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光side



…………正直。


正直言うと、圭人の母親のことを信じるか、最初は迷ってた。



でも、普段温厚な圭人が……自分の考えをあまり表に出さない圭人が。

あそこまで逆上してる姿を見ると、本当に信頼出来る母親なのかもしれないと思って。



………むしろ………普段喋らないくせして、こういう時だけ饒舌になるアイツに……俺は怒りが湧いていた。





光「………山田」

涼「……」

宏「光…?」




俺が声をかけた途端俯いて、その顔は見えなくなって。

………なんだよ。

また喋らないモードな訳?




光「あんな言い方ないだろ……?どんな思いで圭人が告白したと思ってんだよ…!」

涼「………」

光「自分の身内のことだぞ…覚悟して話してくれたはずなのになんであんなこと言ったんだよっ!」

慧「……やめろ」



いつもウザったらしく喋ってくる伊野尾が、珍しく鋭くそう言って間に入ろうとしてくるけど。

喋らない山田にイライラが増して、なおも続ける俺。




光「もし自分だったらとか思わねぇのかよ…!あいつがどんな気持ちか分かんねぇのかよ!?」

慧「やめろって」

光「なぁ、聞いてんだよ!勇気出して言ったことに縁切れ?ふざけんな!!」

慧「おいっ…」

光「あいつが一番辛いんだよ!どんな思いでいるか考えらんねぇのかよ!!」

慧「やめろっ!!!」





…………しんと、静まり返るリビング。


初めて聞いた伊野尾の怒鳴り声に……全員が、ビクッと肩を揺らした。


キッと、俺は伊野尾を睨みつける。







…………その、直後だった。







涼「………く……っ…」

慧「涼介…!」




え………?





………俯いていた山田が……胸をぎゅっと掴んで、膝から崩れ落ちて。



涼「っ、はぁ……っ…ぅ……」






……え……なんだよ……?
何が起こってんだよ……



俺も含め皆が、その尋常じゃなく苦しそうな様子に、戸惑いが隠せない。




慧「大丈夫だからね、持ち上げるよ?」



そんな中でも、1人だけ慣れたように山田を支え、抱えた伊野尾。

足早にリビングを去ろうと扉に足を進めたかと思えば………くるりと振り返って、俺らを見た。





慧「……そんなに善人ぶりたいならさぁ…人の顔色くらい見抜いたら?」




……軽蔑するような、伊野尾の目。


ようやく見えた山田は……険しい顔をして、額には恐ろしいほどの脂汗が浮かんでいた。

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楠木りずむ(プロフ) - 海音さん» ありがとうございます!移行準備遅くなってすみません…!頑張ります!m(*_ _)m (2020年11月15日 17時) (レス) id: cd22ea486d (このIDを非表示/違反報告)
海音 - とても面白いお話です!続き楽しみにしてるので更新頑張ってください(*^^*) (2020年11月15日 13時) (レス) id: a7cc2a3a5f (このIDを非表示/違反報告)
楠木りずむ(プロフ) - mnochimobileさん» ありがとうございます…!頑張ります!(・∀・) (2020年10月23日 21時) (レス) id: cd22ea486d (このIDを非表示/違反報告)
mnochimobile(プロフ) - いつも楽しみにしてます!がんばってください! (2020年10月23日 20時) (レス) id: 060ea68475 (このIDを非表示/違反報告)
楠木りずむ(プロフ) - Siroさん» 頑張ります!ありがとうございます〜!!(*´∀`*) (2020年10月3日 22時) (レス) id: cd22ea486d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:楠木りずむ | 作者ホームページ:楠木りずむ  
作成日時:2020年10月3日 12時

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