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涼介side
宏「……その子は？」
分かりやすく話を逸らした薮さんが、圭人さんに目を向けた。
……あ…
涼「…裕翔先生の弟さんです。今補聴器ないから、多分何も聞こえてないですけど……」
周りの警察官を見ながら不安そうにしていた圭人さん。
けど、俺らの会話を読み取ったのか、薮さんに向かって小さく会釈した。
宏「補聴器……あっ」
そうだ、と言ってポケットをゴソゴソと探る薮さん。
やがて出てきたのは…………イヤホン型の、何か。
これって……………
宏「君のだろ？……お兄さんのポケットに入ってた」
…補聴器………？
ハッとして、薮さんからゆっくりとそれを受け取った圭人さんは、慣れた手つきで耳に装着して。
圭「……ありがとうございます」
今までとは違う、ハッキリした口調でそう言った。
.
俺達も事件の関係者として、パトカーの中で簡単な事情聴取をして。
俺の、一般的には信じられない能力も………薮さんのおかげでどうにかなり、早くも大ちゃんへの疑いが晴れそうな兆候が見えた。
………でも。
それは同時に…………裕翔先生が犯罪者になることを、意味していて。
圭「……………良かったね…お兄さんの潔白、証明出来そうで」
そう言う圭人さんに………何も言えなかった。
病院のロビーの椅子に座る俺達。
押し黙る俺に、圭人さんはなおも口を開く。
圭「…兄ちゃんの復讐………なんとなく、勘づいてはいたんだ。そろそろやるなって」
涼「………」
圭「でも、止めなかった。止められなかった。……多分俺も、無意識に復讐することを望んでたんだ」
涼「……ご両親の事で……？」
圭「………知ってたんだね。うん、そうだよ。……でも俺には、勇気がなくて出来なかった」
そう言う圭人さんの表情は、言葉の通り複雑で。
自嘲的に笑いながらも、それはすごく切ない。
圭「……最低だよね。兄が道を踏み外すのを、目の前で見てたのに」
涼「っ……」
圭「…兄ちゃんは………きっと涼介くんと過ごすうちに、復讐はダメだって考えたと思うんだ。それでもやめなかったのは…………兄ちゃんが、バカ真面目だから。1回決めたら、戻れない人だから」
なんとなく、納得した。
大ちゃんが無罪だって、すぐに分かるような犯行。
俺に全て教えてくれたこと。
それでも復讐をやめなかったこと。
それはもう……裕翔先生が、止めたくても止められなかったからだ。
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違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しょりれん - 完成度が半端なくてびっくりしました！ (2021年11月25日 20時) (
レス) @page50 id: 103108e9a9 (このIDを非表示/違反報告)
海音 - この話とても面白くて度々読み返しに来てます！りずむさんの作品全て好きです！新作の更新も頑張ってください！楽しみにしてます^^* (2020年11月17日 23時) (レス) id: f3a5bd6aac (このIDを非表示/違反報告)
ゆーみん - すごいですね！これからも他の作品で頑張ってください！！！ (2020年8月20日 7時) (レス) id: 4766001341 (このIDを非表示/違反報告)
楠木りずむ(プロフ) - いろはすさん» コメントありがとうございます！そのとおりです〜！お名前だけお借りしました笑 (2020年5月20日 21時) (レス) id: cd22ea486d (このIDを非表示/違反報告)
いろはす(プロフ) - 女の子の名前は古畑中学生ですね！！どこかで聞いたことあるなと思ってました笑 (2020年5月20日 18時) (レス) id: c890c969a8 (このIDを非表示/違反報告)
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