そこに耳をあてたとき 〈2〉

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大貴side



宏「どうだ？」

大「……ダメです……………携帯も…繋がらなくて…無線機も反応してない……」



くっそ………！！




………涼介が拉致されてから……拉致事件の被害者は、出なかった。

つまりこの連続誘拐事件の、最後の被害者が涼介だったんだ。




……近くにいたのに。

ちゃんと俺の目の見えるところにいたはずなのに。

俺は……刑事なのに。



事件を未然に防げなかった。

弟を…………守れなかった。




大「くっそ…！！」


その悔しさから、壁を大きな音をたてて思いっ切り殴る。




宏「……荒れんな。心配になるのは分かる。俺だって心配だ。………でもそんなんじゃ、見えてくるもんも見えてこない。冷静になれ」

大「っ…はい………」



………冷静にならなきゃいけないのはわかってる。


でも………もし、涼介の身に何かあったら……




早く見つけなきゃ。
早く助けなきゃ。

その焦りが、俺を冷静にさせてくれなくて。




宏「…しっかりしろ」

大「っ……」

宏「大丈夫。涼介くんなら大丈夫だ。あの子は……高校生だけど、立派な探偵だ。………涼介くんを信じよう」




……その言葉で………俺はようやく、気づいた。



…こんなに焦ってるのは……俺は、涼介を信じていないからなんじゃないか。


探偵として、信用しきれてない……ってことなんじゃないか……？




大「…そうですよね…………………うん、そうですね」





……信じなきゃ。

アイツは、ただ耳がいいだけじゃない。

一人前の探偵なんだ。




信じよう。

涼介を。



必ず帰ってくると。
必ず他の被害者も助けると………信じよう。




大「こっちはこっちで……出来ることをやらないとですね」

宏「……おう…！」





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あまりに長すぎるので、後編はまた明日公開致します…！

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