■３６■ ページ37
慧side
……………嘘だ。
身体に入れていた力がスッと抜け、固まる。
リョースケが突っ込んでいった兵隊たちに……目が離せない。
慧「まっ……まっ、て、リョースケ…」
俺のか細い声はリョースケに聞こえるはずもなく、足をとめないリョースケ。
…………向こうも、俺に気づいて目を開いた。
慧「まって………っ、リョースケ、まって！！」
ようやく出た、大きな声で………視界の端の、リョースケの足が止まったのが分かる。
リ「なんだ」
そう言うリョースケにも反応せず、俺は固まった体を無理やり動かした。
よろよろと動き出す俺を、止める人はいなくて。
兵隊の先頭にいた兵士もまた………足を止める。
………懐かしい顔。
前よりもたくましいようにも見えるけど、やっぱりそれは多分格好だけで。
現に今もほら………俺を見て、泣きそうな顔をしている。
そいつは、紛れもなく………
慧「……………圭人…………」
俺の……………弟だった。
圭「…兄ちゃん……っ」
慧「お前、なんでっ……」
なんで圭人が、こんなところにいるんだとか。
なんで圭人が、兵隊なのかとか。
なんで………圭人が、こんなことをしてるんだとか。
もちろん、頭に色んなことが頭に浮かんだけど。
その姿を間近で捉えた途端………ぽろっと、情けなくも涙が出た。
家族も、みんな死んで。
もう、誰にも会えないかと思ってた。
たったひとり、俺の弟は………ちゃんと、生きてたんだ。
圭「っ、兄ちゃん、俺………」
慧「…………無事で、良かったっ……」
憎くて恨んでいた兵隊に、圭人がいることには驚いたけど。
その途端、すぅっと根付いていた復讐心が溶けていくのがわかって。
圭人は絶対に、そんなことをする人じゃないから。
きっと…………兵隊のほとんどが、上からの指示で無理矢理やらされているんだ。そう思った。
そうなれば、噂で聞いた、兵隊の6割が素人であるという話も合点が行く。
慧「…頑張った、ね………」
圭「………っ…」
俺は、硬くて冷たい鎧の圭人を……ぎゅっと、抱きしめた。
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違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
のん(プロフ) - 主様は天才ですか？！最高でした。涙が止まりませんでした (2022年8月26日 0時) (
レス) @page48 id: da36f43a6d (このIDを非表示/違反報告)
白米小悪魔(プロフ) - 涼介が亡くなったところからずーっと涙が止まらず、最後まで読みました！やばかったです！ティッシュ必須です！ (2021年12月3日 21時) (レス) @page48 id: 9c9b1da7b7 (このIDを非表示/違反報告)
楠木りずむ(プロフ) - やまたかLOVEさん» あけましておめでとうございます！！ありがとうございます〜！ (2020年1月1日 23時) (レス) id: cd22ea486d (このIDを非表示/違反報告)
やまたかLOVE - あけましておめでとうございます！良いお年をお迎えください(*ﾟ▽ﾟ*) (2020年1月1日 0時) (レス) id: 6533d85759 (このIDを非表示/違反報告)
楠木りずむ(プロフ) - 名無し54757号さん» 嬉しいです……！！読んで頂きありがとうございました！！m(_ _)m (2019年12月26日 7時) (レス) id: cd22ea486d (このIDを非表示/違反報告)
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