■２６■ ページ27
リョースケside
ひとりになってから………実に、10回目の昼。
………眠い。腹が減った。
森に入って兎を狩り、手足を持ってぶら下げる。
この体は、この状態のままでは、兎も鹿もどの肉も食えないらしい。
せっかく狩ったのに、まだ腹は満たせない。
火が欲しい。
兎を手にしながらまたしばらく歩いていれば…………見つけたのは、ぽつんと建つ小さな家。
…………形は違うけど………なんとなく、涼介の家に似ていて。
明かりはついてない。
人気もしない。
もしかしたら火があるかもしれない。
迷うことなく、俺はその家に近づいた。
涼「………火…」
昼間だが日当たりの悪いこの家は、やはり真っ暗。
そんな中で見えたのは……侑李と裕翔の家にもあった、“ダンロ”というやつ。
これに火がつくことを、俺は知ってる。
裕翔がやっていたみたいに、近くの細い棒をざらざらとした箱に擦り付ければ、3回目で火がついた。
それをダンロに投げ入れれば、火がどんどん大きくなっていく。
これで兎が食える。
涼「よし」
………なんだか瞼が重い。目が疲れた。
人間の体になったのに、夜に寝なかったからだろうか。
兎の前に寝てしまおうか。
なんとなく、この火の暖かさがより瞼を重くさせている気がして。
結局俺は、せっかく狩った兎を焼きもせず、眠りやすそうなところで横になった。
………ガチャリ。
「………………え？」
そんな音と、知らない人間の声がして、ゆっくりと目を開けた。
「あ、起きた」
目にうつったのは…………やはり、知らない人間で。
急いでその場から立ち上がり、そいつから離れて睨み付ける。
誰だ。
政府か？
男か？女か？
「勝手に入っといてその反応はないでしょ〜。ここ、俺んちなんだけど」
俺、ということは、どうやら男らしい。
鼻につく喋り方のせいで、俺の警戒はさらに強くなって。
さらに距離を取って、もっと鋭く相手を睨み付けた。
「あーそんな離れないでよ。君、どこの子？家族は？…………政府にやられたの？」
リ「…っ……お前は誰だ」
「あ、図星だね。俺の名前は伊野尾慧。大丈夫、俺は敵じゃないよ〜」
……………どちらかというと、味方かもね。
笑いながら、そんな風に言う男に。
俺は、眉間に皺を寄せた。
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違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
のん(プロフ) - 主様は天才ですか？！最高でした。涙が止まりませんでした (2022年8月26日 0時) (
レス) @page48 id: da36f43a6d (このIDを非表示/違反報告)
白米小悪魔(プロフ) - 涼介が亡くなったところからずーっと涙が止まらず、最後まで読みました！やばかったです！ティッシュ必須です！ (2021年12月3日 21時) (レス) @page48 id: 9c9b1da7b7 (このIDを非表示/違反報告)
楠木りずむ(プロフ) - やまたかLOVEさん» あけましておめでとうございます！！ありがとうございます〜！ (2020年1月1日 23時) (レス) id: cd22ea486d (このIDを非表示/違反報告)
やまたかLOVE - あけましておめでとうございます！良いお年をお迎えください(*ﾟ▽ﾟ*) (2020年1月1日 0時) (レス) id: 6533d85759 (このIDを非表示/違反報告)
楠木りずむ(プロフ) - 名無し54757号さん» 嬉しいです……！！読んで頂きありがとうございました！！m(_ _)m (2019年12月26日 7時) (レス) id: cd22ea486d (このIDを非表示/違反報告)
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