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裕翔side





………あの丘に行ってから、数日。

早朝、珍しく早くに目が覚めた俺。

眠い目を擦りながら、回りを見回して………ハッとした。



裕「…………リョースケ………?」



リョースケが………どこにもいないからだ。






侑「僕こっち探すから、そっちはお願いね!」

裕「分かった…!」


すぐに知念を起こして、朝から町を走り回る。


俺らの店も隅々まで探して、家の裏、果物畑、森、近所のお店……あの、丘にも行った。

………けど、リョースケはどこにもいなくて。


あっという間に日も暮れて、結局、見つけ出すことはできなかった。







侑「…どこ行っちゃったのかな………」


眉を下げながら、少し泣きそうな顔でそういう知念。

ほんとに………どこに行ったんだろう。

ここにきてほんの数日。
まだこの辺のことは、詳しく知らないはずだし………




リ『早くセイフを見つけたいからだ』



雄也さんの家で言っていたリョースケの言葉が、頭のなかでこだまする。


……………もしかしたら。

もしかしたら、涼介は………



裕「……探しに行ったのかも」

侑「何を………」

裕「………もちろん……政府をだよ」


復讐するために。
涼介の、敵を打つために。


熱も下がって、足の怪我も大分良くなった今。

そう考えて夜に家を出ていったというのも大いにあり得る。

というか………多分、そうだ。



侑「……ほんとはね」



久々に、ふたりきりの夕飯。
しばらく静寂が走ったあと、ぽつりと知念が呟いた。


侑「ほんとは……止めるべきなんだよ、僕達が」

裕「……」

侑「だけど……だけどね。………リョースケ頑張れって、やっちまえって、最低なことを思ってる自分もいてさ」



……知念の言うことは、全くその通りで。


俺も、そうだった。

ほんとは止めてあげなきゃいけないのに……このまま政府を殺してくれれば、なんて考えちゃう俺もいて。

結局……何も言えなかった俺たち。



ヤマは、そんな俺達を怒ってるかな。

なに考えてんだって、呆れるかもしれないね。



裕「………どうなるんだろう、リョースケ」

侑「………」


結局、答えなんて出ないまま……次の日から俺達は、“いつも通り”を装った。


………逃げたんだ。現実から。

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のん(プロフ) - 主様は天才ですか?!最高でした。涙が止まりませんでした (2022年8月26日 0時) (レス) @page48 id: da36f43a6d (このIDを非表示/違反報告)
白米小悪魔(プロフ) - 涼介が亡くなったところからずーっと涙が止まらず、最後まで読みました!やばかったです!ティッシュ必須です! (2021年12月3日 21時) (レス) @page48 id: 9c9b1da7b7 (このIDを非表示/違反報告)
楠木りずむ(プロフ) - やまたかLOVEさん» あけましておめでとうございます!!ありがとうございます〜! (2020年1月1日 23時) (レス) id: cd22ea486d (このIDを非表示/違反報告)
やまたかLOVE - あけましておめでとうございます!良いお年をお迎えください(*゚▽゚*) (2020年1月1日 0時) (レス) id: 6533d85759 (このIDを非表示/違反報告)
楠木りずむ(プロフ) - 名無し54757号さん» 嬉しいです……!!読んで頂きありがとうございました!!m(_ _)m (2019年12月26日 7時) (レス) id: cd22ea486d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:楠木りずむ | 作者ホームページ:楠木りずむ  
作成日時:2019年10月31日 17時

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