B E A S T

■１０■ ページ11

リョースケside




『命って、世界一価値があるものだと思うんだ』



のどかな草原。

星空を見ながら、涼介が言った。



『そんな命を奪いながら、俺らは生きてる。お前も、鹿肉が好きだろ？鹿から命をもらって、今を生きてるんだ』


『ウゥ〜……』


『そんな命をさ。自分で殺したり、ましてや人を殺すなんて……そんな扱いをするのは、どうも許せないんだよ』



なぜ、そんな話をしたのか、当時の俺にはわからなかった。

けど、今ならわかる。



………あれは、セイフに向けての言葉だ。




…………あんなに素敵なことを考える、リョースケが。
どうして、あんな無惨な殺され方をしなきゃいけない？


同じ、人間同士なのに…………どうして、殺した？





リ「……涼介……………」



月が光る、深夜。



きっとあの男たちも、眠りについたであろう。


……………いつまでも、ここにいるわけにはいかない。


涼介以外の人間は皆、残酷なやつだと思ってたから、最初は戸惑ったけど。

あの人たちには、涼介と同じようなものを感じたから………きっと、良い人間だろう。




だからこそ。




セイフというやつらに、痛い目を見せなきゃいけない。


涼介の、敵を打つため。
あの男たちに、同じ目を合わせないため。








俺は、服をもとの物に着替えて……真っ暗な家を出た。

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