とうとう ページ14
涼介side
す「…ほら、お別れ言いな？」
涼「…………うん」
皆がリビングでそわそわしていた、10:00頃。
インターホンの軽快な音とともにやって来たのは、当たり前だけど母さんで。
………とうとうこの時間が来たのだと、思っていたよりも冷静な頭で考えていた。
涼「圭人、侑李、元気でね。いい子にしてるんだよ？」
圭「っ……うん…っ」
侑「りょ、すけ……ばいばい……」
泣きながら、控えめに手を振るふたり。
そんなふたりに両側から抱きつかれてる裕翔も、心なしか少し目が潤んでて。
涼「…裕翔も、じゃあね」
裕「………またね、涼介」
……また、は、あるのかな。
あるといいなぁ………
眉を下げながら微笑んでるヒカ。泣きそうな癖に、目が合うとにかっと笑う大ちゃん。
意外と涙もろくて、今も顔を歪ませてる伊野ちゃん……その伊野ちゃんの肩に手をおいて俺を見る、雄ちゃん。
それから……頼れる優しい施設長。
涼「今まで、本当にお世話になりました。ここまで育ててくれてありがとう」
宏「またいつでも遊びにこいよ？………ここはお前の、もうひとつの家だ」
そう微笑んでくれた薮ちゃんに、俺も精一杯笑って見せて。
母さんと微笑みあってから、車に乗り込んだ。
す「では、失礼しますね」
涼「…バイバイ、皆」
車から見える輝希、そして玄関に立つ皆。
この景色をみれることはもうないかもしれないと思うと、少しでも目に焼き付けたくて。
………車が、ゆっくり発車してからも………その光景から目を離せない。
大「元気でなー！」
雄「気を付けろよー！」
侑「りょぉすけぇーっ…！」
手を振ってくれる皆の姿が、遠くなっていく。
途端に目頭が熱くなるのを、必死に我慢した。
……寂しいけど、すごく悲しいけど。
母さんとの生活は、楽しみ。
すごく楽しみだ。
母さんと生活できて、嬉しい。
本当に、本当に嬉しい。
す「………涼介」
涼「っ………」
嬉しい、楽しみ、嬉しい……
無理矢理にでもそう思わないと……どうにかなってしまう気がする。
す「あんだけしごいてやった演技……下手になったわね。目ぇ泳いでるし、ぎこちないし……」
はぁ、と冷たくため息をつく母さんに………固まる俺。
す「……覚悟、出来てるのよね」
涼「……………はい」
す「……次逃げたりしたら………」
“殺すから”
そう言った母さんの目は……誰よりも冷たい、仕事のときの目だった。
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楠木りずむ(プロフ) - 柑橘類。さん» 嬉しいです……！！こちらこそ読んでいただき、コメントまで感謝です！ありがとうございました！m(_ _)m (2019年11月10日 9時) (
レス) id: 9a431af939 (このIDを非表示/違反報告)
柑橘類。 - 初コメ失礼します。今更ながらではありますが、完結おめでとうございます！輝希の皆の温かさや、幼い山田くんの苦悩と決意に泣かされました…どの小説よりも大好きな作品です。書いてくださりありがとうございました！ (2019年11月9日 17時) (レス) id: 8dd377e6cf (このIDを非表示/違反報告)
楠木りずむ(プロフ) - JUMPLOVEさん» こちらこそ読んでいただき感謝しかないです！ありがとうございます！！！ (2019年11月8日 13時) (レス) id: 9a431af939 (このIDを非表示/違反報告)
楠木りずむ(プロフ) - 眼鏡っ子さん» ありがとうございます♪実は掛け持ちをしておりますので、ぜひそちらも覗いてくださいな…(しれっと)ありがとうございました！ (2019年11月8日 13時) (レス) id: 9a431af939 (このIDを非表示/違反報告)
楠木りずむ(プロフ) - かのさん» 嬉しいです！ありがとうございます！これからもよろしくお願いしますm(__)m (2019年11月8日 13時) (レス) id: 9a431af939 (このIDを非表示/違反報告)
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