通学路 ページ2
裕翔side
「……あ、施設の人たちだ」
「ほんとだー………あれ、障害持ちだっけ?」
「ちょ、あんまそういうの触れない方がいいよ…」
………俺たちの登校は、少し……いや、かなり居心地が悪い。
俺たちが通っている学校は、小中高附属の私立学校で、そこの通信制クラスというもの。
だから、通信じゃなく普通に通っている人たちももちろんいて。
そういう人たちは……理解が浅いことが多いのだ。
今だって、施設から出てきただけで、こんな風にヒソヒソ言われてしまう。
悪口を言われてるわけではないけど……いい気はしないんだよなぁ………
………と言いつつ、この視線にも慣れてきた、俺と涼介。
涼「何年経っても変わらないね」
裕「まぁ、しょうがないよねぇ」
こんな風に俺たちは割りきれるんだけど……
侑李と圭人が慣れるには、まだ少し早いみたいで。
周りの視線から隠れるように、俯いて歩いていた。
涼「侑李?…学校、楽しみじゃないの?」
侑「……楽しみだよ?………お友達は、あんまり出来ないけど……先生、好きだし………………でも」
涼「でも?」
侑「…………見られるの…いや…」
圭「……僕も………………先生は好きだけど……こうやってチラチラされながら歩くのは、やだ……」
侑李と圭人で、ぎゅっと手を握りながら歩いていくのを、後ろから見守る俺たち。
前を歩くふたりのそんな声が聞こえてきて、涼介と顔を見合わせた。
裕「……そうだね。確かに…チラチラ見られて歩くのも、ヒソヒソ話されるのも、嫌だよね。ちょっと怖いもんね」
圭「……裕翔も……?涼介は?」
涼「もちろん……俺も、いい気はしないよ」
多少慣れたとはいっても、やっぱりそこは変わらなくて。
何を話されてるんだろう、普通じゃないってそんなに悪いことかな、そんなに変なことなのかな。
そう思って、内心少しビクビクしてたりもするんだ。
………でも。
裕「でも………俺たちは、悪いことなんてなにもしてない。ビクビク怖がるようなこと、なにもしてないんだ。施設にいるのも病気があるのも、全部事実。だけどそこにいけないことなんて、何もない。……だから前を向きな?」
施設にいて何が悪い。
親がいなくて何が悪い。
足がなくて何が悪い。
どんな形であれ俺たちは俺たちだし、そこにダメなことなんて……なにもないんだ。
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楠木りずむ(プロフ) - 柑橘類。さん» 嬉しいです……!!こちらこそ読んでいただき、コメントまで感謝です!ありがとうございました!m(_ _)m (2019年11月10日 9時) (レス) id: 9a431af939 (このIDを非表示/違反報告)
柑橘類。 - 初コメ失礼します。今更ながらではありますが、完結おめでとうございます!輝希の皆の温かさや、幼い山田くんの苦悩と決意に泣かされました…どの小説よりも大好きな作品です。書いてくださりありがとうございました! (2019年11月9日 17時) (レス) id: 8dd377e6cf (このIDを非表示/違反報告)
楠木りずむ(プロフ) - JUMPLOVEさん» こちらこそ読んでいただき感謝しかないです!ありがとうございます!!! (2019年11月8日 13時) (レス) id: 9a431af939 (このIDを非表示/違反報告)
楠木りずむ(プロフ) - 眼鏡っ子さん» ありがとうございます♪実は掛け持ちをしておりますので、ぜひそちらも覗いてくださいな…(しれっと)ありがとうございました! (2019年11月8日 13時) (レス) id: 9a431af939 (このIDを非表示/違反報告)
楠木りずむ(プロフ) - かのさん» 嬉しいです!ありがとうございます!これからもよろしくお願いしますm(__)m (2019年11月8日 13時) (レス) id: 9a431af939 (このIDを非表示/違反報告)
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