養護施設 “輝希”

2人だけの ページ41

大貴side



………涼介が部屋に行ってしまい、2人だけの食卓に。


大「俺、まずいこと言っちゃったかなぁ…」

光「いや…そんなことないと思うけど…」

昨日のことで謝らなきゃいけないのはやっぱり俺だし、涼介はほんとに何も悪くないと思うけど……

マイナス思考になってるだけなのか、はたまた…別の理由があるのか。


光「でも、これ以上昨日のことに触れるのも良くないかもね」


光くんの言葉に、俺も頷く。
確かにあの様子じゃ…もう昨日のことは、ほっといてほしそうだったし。

涼介のことが気にかかりながらも……2人だけになってしまった俺達は、黙々とご飯を口に運んだ。


大「……うま。その辺の店より断然光くんのご飯の方が美味しい」

光「…薮も前言ってたけどそれ恥ずかしいから外で絶対言うなよ」





涼介side



………どうしよう。

ベッドに潜り込んで、ひとりぐるぐると考えていた。

…心臓が、ドキドキと嫌な音をたててる。

どうしよう、どうしよう……


旅行での、海での出来事。
お風呂での裕翔との会話。
そして、昨日。


嫌な予感がする。


このままじゃ…………
…………バレちゃう…バレちゃうよ……………


全部全部、ほんとのことを話してしまいたいけど、それはどうしても怖い。
皆が大好きだからこそ……怖い。


こんなことになるなら……ここに来ない方がよかったのかな…

そもそも、俺はここにいちゃいけないんだ………


………そう思うけど、ここを出ていく勇気も俺にはなくて。

結局、何も聞いてこない優しい皆に、甘えてるだけ。

……過去は、消えない。
過去からは、逃げられない。


涼「……どうすればいいの……」


俺は、ぎゅっと布団を握って。

…………どうしようもない現実に……思わず、涙をこぼした。

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