養護施設 “輝希”

3人だけの ページ40

光side



涼「いただきます」

大「いただきまーす」

光「ん、めしあがれ」

涼介と、大ちゃんと、俺。

こんなにも人が少ない食卓はひさしぶりで、なんだか物寂しい。


大「…3人だとこんないらなかったんじゃねぇの…？」

光「つい作りすぎちゃったの！黙って食え」

大「はい」


美味しいです、ともぐもぐ口を動かす大ちゃんに、涼介がクスクスと笑う。


子供たちは、もちろん学校。そろそろ終わる時間だから、高木は車でお迎え。

……薮は…詳しいことはよくわかんねぇけど、施設の申請の更新がどうとかで、役所に出掛けていて。

伊野尾は、珍しく外部からカウンセリングの依頼をされて病院へ。

結果、いつもは9人いる食卓に、3人だけが並ぶ形になった。

なんとなくガランとしていて、変な感じ。


大「……あ………涼介、体はもう平気…？」

涼「ん？…………あぁ、もう全然平気だよ。午前中ずっと寝てたし」

大「……そっか」


……そんな涼介よりも起きるのが遅かったのが、大ちゃんなんだけども。


大「………ほんとにごめんな？あんな時間にあんな映画、ビックリしたろ」

涼「んーん、大ちゃんのせいじゃないよ」

大「いや、あれ見ようって言い出したの…俺なんだよ。だからほんと、ごめん」

涼「だから、違うんだって。ほんとに平気！……………俺が悪いから」


………ん？


その会話に、少しだけ違和感を覚える。

涼介が悪いことは……何もない、よな？
ここの職員の配慮不足であって、あくまで涼介は被害者な訳で……

大ちゃんも少し疑問に思ったようで、「え…？」と小さく声を漏らす。

その声で、涼介はハッとしたように首を振った。


涼「なんでもない。…とにかく、大ちゃんたちのせいじゃないよ？気にしないで」


そう言って笑う涼介の笑顔は、少し固くて。


光「涼介……」

涼「……ごめん、ごちそうさま。やっぱりもう1回寝てくるね。全部食べられなくてごめんなさい」


早口にそう言った涼介は、足早にリビングをあとにしてしまった。

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