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戸惑い ページ27

裕翔side



………その笑顔は、自嘲気味な笑顔だった。

見ていて、辛くなるような……そんな顔。


涼「………俺……輝希に来る前は、学校行ってなかったんだ」


………え………?


初めて聞く、輝希に来る前の涼介のこと。


涼「だから……いじめとか、よく分かんない。ごめんね…?」

裕「……なんで………行かなかったの…?」

涼「……………行かせてもらえなくて」


……輝希では、通信制の学校に行ってるから…俺らは月に何度かしか登校はしていない。

もし涼介が、学校に行ってなかったなら………いじめの存在すら知らなかったのも、納得できる、けど…………


行かせてもらえなかった……?


涼介は、過去に何があったんだろう…?

学校に行かなかったのは、金銭的な問題?それとも虐待?病気?


涼「………お風呂、入ろっか」

裕「ちょっと待って涼介……」

涼「これ以上は話したくないんだ。……とにかく、さっきはごめんね?」

裕「……あ………………いや…別に」


……いつのまにかイライラは消え、広がったのは動揺と疑問。

それなのに涼介は、何も気にしないというように俺の肩をもって。


涼「滑ると危ないからこうやっていこ」


そう、笑っていった。


まるで、何も触れるなと言うように。

無理矢理話をそらすように。


裕「あ、うん…………」


だから俺も……その流れに任せて、体を支えてもらう。

こうすると、やっぱり少し目立つけど……半ばやけくそに、浴室に入った。



「おぉ、お兄ちゃん、大丈夫かい?」

裕「あ、はい……」

「転ばないようになー」

裕「は、はい…っ……」


………冷たい視線を、浴びせられる。


そう思いきや…………優しくそう言われ、正直少し戸惑った。

なんだか今日は、戸惑うことが色々と多い。


……やっぱり、若い人は少し気味悪そうにこっちを見てたけど。

それでも、優しく見守ってくれる人もいるから。

………案外、大丈夫かもしれない………なんて、単純な俺。


大「あ、きた」

慧「お…仲直りできた?」

先に入っていたふたりに言われて……俺はあっと声をあげる。

そういえば……俺はまだ、謝ってない。


裕「……涼介、俺もごめん。さっきは言い過ぎた」

涼「………へ……?………あぁ…もう気にしてないよ」


お風呂に入れば気分も穏やかになって、スッと出てきた謝罪の言葉。

……まだ気にしてたくせに、涼介は、少し早口でそう言った。

楽しかった→←お風呂



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かの(プロフ) - 楠木りずむさん» ほんと、そうですよね〜 (2019年10月5日 18時) (レス) id: a1c36b0d98 (このIDを非表示/違反報告)
楠木りずむ(プロフ) - かのさん» 不謹慎だけど!申し訳ないけど!やっぱり病系っていいですよね!!笑 (2019年10月3日 21時) (レス) id: 9a431af939 (このIDを非表示/違反報告)
楠木りずむ(プロフ) - はるさん» 仲間がいて嬉しいです(*´∀`)倒れ方プロですよね(は)本当に上手すぎますよね!! (2019年10月3日 21時) (レス) id: 9a431af939 (このIDを非表示/違反報告)
かの(プロフ) - 私も、不謹慎ながら病系が好きです!(結構重めの) (2019年10月3日 19時) (レス) id: a1c36b0d98 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - 私も不謹慎ですが病系好きです。セミオが倒れるときあーセミオー!って感じでした。山田さんの顔の表現力尊敬します (2019年10月3日 18時) (レス) id: 6c02acd669 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:楠木りずむ | 作者ホームページ:楠木りずむ  
作成日時:2019年8月26日 17時

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