コンプレックス ページ25
光side
部屋もやっぱり豪華で、この人数だからか全てがおっきくて。
9人もいるのにひと部屋って時点で、なんか凄そうだなぁとは思ってたけど……想像以上だった。
……こりゃ多分………予算相当頑張ったな、薮………
もちろん子供たちも、終始元気で。
………職員のはずの大ちゃんと雄也も、終始元気で。
広い部屋を練り歩いて、ベッドやら外の景色やら家具やらを物色していた。
……それなのに風呂がないなんて、な……
午後7時から、1階のフロアではバイキングが行われる。
俺達はその時間を狙って、大浴場に向かった。
それでも、チラホラ人はいて……少しだけ暗くなる、裕翔の表情。
宏「………明日の朝にするか?裕翔」
ちょっと早起きしなきゃだけど、そっちの方がいいかもしれない。
俺もそう思ったけど……裕翔は薮に、静かに首を振った。
裕「……んーん……海で汚れたし、平気」
圭「裕翔………?おふろ、やなの?」
裕「ん?……大丈夫だよ」
……風呂では義足はつけられないから、片足でケンケンで移動することになる。
そもそも濡れた床を片足で移動なんて危なっかしいし………結構目立つ。
その動きに注目した周囲の人は、切断されている足をみて一瞬動きを止める。
………裕翔は、それがいやなのだ。
いじめられた経験から、足がない自分は気持ち悪いと思ってしまっている裕翔。
最大のコンプレックスを、たくさんの人に注目されることが…………何よりもいやなのだ。
………着替えてる途中も、チラチラと周りを気にしたり、足を隠すようにしていた裕翔。
涼「裕翔………」
裕「……なに?」
涼「……だっ…………大丈夫、だよ!あんまり気にしすぎない方がいいよ!」
そんな裕翔を、皆もなんとなく気遣ってて……少し表情の固い裕翔に、涼介が声をかけた。
裕「………」
涼「…ほ、ほら…!せっかくのお風呂だしさっ!大丈夫だって!」
裕「………」
涼「誰も気にしないって…!楽しめなくなっちゃうよ?…義足くらい、全然……」
裕「………うっさいな…」
………静かに、でも、冷たく。
裕翔が、吐き捨てるようにそう言う。
涼「…え………」
裕「なにも知らないくせにそんなこと言わないでくんない?……黙ってて」
涼「……ご、めん…」
…あちゃー………
涼介と裕翔の会話で……俺らの空気は、一気に最悪になってしまった。
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かの(プロフ) - 楠木りずむさん» ほんと、そうですよね〜 (2019年10月5日 18時) (レス) id: a1c36b0d98 (このIDを非表示/違反報告)
楠木りずむ(プロフ) - かのさん» 不謹慎だけど!申し訳ないけど!やっぱり病系っていいですよね!!笑 (2019年10月3日 21時) (レス) id: 9a431af939 (このIDを非表示/違反報告)
楠木りずむ(プロフ) - はるさん» 仲間がいて嬉しいです(*´∀`)倒れ方プロですよね(は)本当に上手すぎますよね!! (2019年10月3日 21時) (レス) id: 9a431af939 (このIDを非表示/違反報告)
かの(プロフ) - 私も、不謹慎ながら病系が好きです!(結構重めの) (2019年10月3日 19時) (レス) id: a1c36b0d98 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - 私も不謹慎ですが病系好きです。セミオが倒れるときあーセミオー!って感じでした。山田さんの顔の表現力尊敬します (2019年10月3日 18時) (レス) id: 6c02acd669 (このIDを非表示/違反報告)
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