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涼介side
…………反射的に、声が出ていた。
たとえ、裏切り者であっても。たとえ、蛇の仲間であっても。
ヒカが…………この世からいなくなるなんて、考えられなくて。
いなくなってほしくなくて、俺のそばにいてほしくて。
涼「ヒカを…、殺さないで………」
光「っ……涼介、様…」
だって、俺の知ってるヒカは。
いつも、笑いかけてくれて。
心配性なくらい、気にかけてくれて。
美味しい紅茶とケーキを出してくれて。
ちょっとお茶目で。
かなり頼りがいがあって。
俺の………大切な仲間のひとりだから。
だから…………!
涼「殺さないで、お願い…!」
慧「……涼介様。光は、涼介様を裏切ったんですよ。あなたを……殺そうとしたんですよ」
涼「分かってる!」
慧「いや分かってない!!………あなたは、分かってない。まだ、この事を受け入れきれてない」
でも、だって、そんな。
光「………涼介様………私を、許してはいけません」
それでも………俺は、絶対に殺さない。
智『……ずっと一緒に、いれなくて、ごめんな……っ……』
俺はもう………仲間を殺さない。絶対に。
涼「……勘違いしないで。俺はヒカを許してなんかない」
光「え……」
涼「ヒカはこれから、俺に散々こき使われる。…それで一生かけて、罪を償え」
光「っ、しかしっ!」
涼「………どうせ、俺に魔法は使えないんでしょう?ヒカは俺をこれ以上裏切れない。だったら……俺の戦力になれ」
俺に魔法が使えないのなら。
俺がそばにいても、危険ではない。
ヒカが蛇に戻ったとしても、戦力外として殺される。
だったら……こっちで生かしておいた方が、ずっといいに決まってる。
光「……もし……私が魔法を使わないで殺そうとしたら……?」
涼「………そんなことできるの?」
光「…っ…」
涼「…ただでさえヒカは、さっき俺に杖を向けたとき…“ごめんなさい”って言った。………2回も俺を裏切ることなんて、ヒカには出来ない」
………確かに、ヒカは……十数年もの間、俺を裏切っていたことになる。
だけど……その十数年、俺たちだって、伊達に一緒に暮らしていたわけじゃない。
生むもんは生んできたし、築けるもんは築いてきた。
こんなことで………壊れるようなもの、作ってなんかない。
光「……涼介、様っ……」
涼「……」
光「ごめん、なさ…っ」
ポロッと、涙をこぼすヒカ。
………初めて見た、ヒカの涙。
光「私を……っ……一緒に、戦わせてください…!」
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