マネージャーの、山田です。

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涼介side



…………微かに、薬品の香りが鼻を掠める。

涼「ん…………」

ゆっくりと目を開けると、そこには白い天井。

まだ若干目眩がのこっていて、思わず目の上に腕をのせた。

涼「…っはぁ…」

宏「……山田？起きた？」

…………あ……

聞き馴染みのある声が聞こえ、置いたばかりの腕をどかして目を開ける。

涼「…やぶちゃん…光くん……」

光「気分はどう？……って………まだちょっとしんどそうだな」

見てわかるほど、顔色悪いのかな。

光くんはそう言って、眉を下げて俺の頬に触れた。

………ああ、撮影中だっていうのに。
メイキングのカメラだって、回ってただろうに。

涼「……ごめん………」

宏「謝るなよ……今回は、しょうがない。秀さん不在じゃ誰でもキツいって」

涼「だけど………」

宏「……お前が倒れるくらい、俺らに仕事がたくさん来てるってことだろ？むしろありがとうだよ」

そんなことを言われるなんて、思わなくて。

…………やっぱり、体が弱ってるのかな。

あっという間に涙腺が緩んで、誤魔化すように再び腕で目元を隠した。

……それなのに、まるで分かってるかのように頭に手が置かれ、さらに腕が濡れる。

光「ちょっと頑張りすぎたな。ゆっくり休も」

涼「ん………っ」

光くんの優しい声と、薮くんのあったかい手に、こくんと頷いた。




涼「おはよう。………昨日は、ほんとにごめんね」

宏「おはよ。もう平気？」

翌日。

朝から撮影があった薮ちゃんを車に乗せれば、そう言って心配そうな顔を覗き込んできて。

涼「もうピンピンだよ」

心配かけないように、目一杯の笑顔でそういえば、ホッとしたように微笑んだ。

ちゃんと寝たし、朝御飯も食べたし………久々に、こんなに体が軽い。

涼「……ありがとね」

宏「それは皆の前で言えって」

………それもそうだな。

くしゃっと笑った薮ちゃんに、俺も笑い返した。


今度は俺が…………というか、本当は俺が、皆を支えなきゃいけない立場。

情けないところを見せたけど……これからは、たくさん恩返ししていこう。

俺は密かに、そう決意を固めた。






涼「はいこれ。今日は長丁場だからね」

宏「え、なにこれ」

涼「…栄養ドリンクとゼリー」

宏「ふはっ………さんきゅ」

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