マネージャーの、山田です。

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涼介side



涼「じゃ、明日朝8時に迎えに来るね。お疲れ」

慧「ん、ありがと。………ねぇ山田」

伊野尾ちゃんの家の入り口手前で、ゆっくりと車を停める。

車のドアを開けて伊野尾ちゃんが出ていくその直前で、車内ではずっと喋らなかった伊野尾ちゃんが口を開いた。

慧「……大丈夫？」

……分かってるよ。さっきのことでしょ？


自分でも、想像以上にパニクっちゃって。

恐怖が俺を支配して、頭が働かなくなった、あの感覚。

カメラを向けられ照明をつけられた途端、来るはずのないヤジや罵倒や冷たい目線を想像しちゃって………体が、硬直して。

周りの声なんて、いつの間にか聞こえなくなっていた。


あのあと、秀さんがカメラマンさんに注意してくれたようで………申し訳なさそうに、俺に頭を下げてきた。

別に、悪い気があったんじゃないだろうし、別に良かったのに……

涼「……もう平気だよ。ごめんね心配かけて」

慧「うん………無理すんなよ」

涼「あはは、俺より忙しい伊野尾ちゃんに言われるなんてねぇ」

……前代未聞、だよね。
タレントに心配されるなんて。

涼「ほんとにもう全然大丈夫だから！伊野尾ちゃんも無理しちゃダメだよ？キツかったらスケジュール調整するから」

慧「……うん」

涼「じゃーね」

まだ何か言いたげな伊野尾ちゃんを残し、俺は車を発進させた。


“何かあったの？”


そう言われるのが、怖かったから。



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