Daily of Novelist

「雨待ちです。」 ページ6

涼介side


ピロン、と軽快な音楽が、ポケットから聞こえる。

だんだんと曇っていく空は、今にも落ちてきそうなくらい黒くて……もうじき、雨が降るだろう。

今時俺くらいしか持ってない開くタイプの携帯電話。
まだこの携帯使えるしね。スマートフォンって難しそうだよね。

そんなことを思いながら開いてみれば、画面には「有岡大貴」の文字が並んでいた。

また、原稿の催促だろうか。

次の小説では雨に打たれるシーンがあるから、それを感じたいんだけどな。

でも………もう少しここにいたいと思いながら、助けてほしいと思っているのも事実で。

“今何してますか？”に対して、ポチポチとボタンに指を走らせた。

………ポタッ…

涼「……あ、降ってきた」





大貴side


大「雨待ちぃ……？」

“雨待ちです。”

それだけが書かれたメールを見て、思わず眉を寄せた。

確かに今、雨降りそうだけど……何してるんだ？

…とりあえず今は、仕事しなくては。

“ちゃんと仕事してくださいよ？明日また先生の家に打ち合わせに行きます”

それだけ送って、たまっていた仕事に手をつけた。

こりゃ今日は徹夜だなぁ………




…次の日。
なんとか仕事を終わらせた俺は、予告通り先生の家に来ていた。……けど。

大「せんせー？」

リビングにはいない、台所もトイレも、お風呂にもいない……

仕事部屋か…？
あの人が俺が来たときに大人しく仕事をしているのは、割りと稀なんだけど……

恐る恐る仕事部屋のドアを開けると、そこには……

大「…あれ」

机に向かって絶賛お仕事中の先生……ではなく、ベッドで横になっている先生がいた。



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