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大貴side
「よぅ、りょーすけくん?」
……ピクッと反応して、反射的に玄関を見た。
………そこにはやはり……あのときの宅急便のお兄さん。
他にも、後ろにニヤニヤした二人の男の人がいて。
…………先生にこの前聞いた話だと…………この人たちが、先生の原稿を台無しにした、張本人……
「なんだか話題じゃねぇか、お前…テレビで見たぜ?」
「革命を起こしたってな。ハッ…こんな奴がねぇ?」
「ってことはさ、お金、持ってるんだよね!なぁ?ちょっとくらい分けてくれよ?」
……これは…
ど、どうしよう……!?
3人の男に囲まれて、うつむいて黙ってる先生。
背が低いせいか、それとも3人の背が高いのか……男たちの圧が凄い。
これは……とりあえず、助けないと!
重たい段ボール箱を放り投げ……ようとしたけど、弁償は勘弁なので丁寧に床に置いて、玄関先に向かおうとした。
……………だけど。
涼「………ふふっ……」
………突然、先生は……肩を震わせて笑って。
そんな先生に、俺も男たちも、ポカンとしてしまった。
「……おいてめぇ……何笑ってんだ?」
涼「ふふふっ…………はー、いや……革命を起こした何て言われてますけど、それは貴方たちのおかげなんですよ?」
………前に、宅配便として一人の男が現れたときより……落ち着いていて冷静で、余裕があって。
涼「貴方たちがいなければ、あの小説は出来なかったし、直木賞もなかった」
「なにいってんだよ……」
その、なんだかちょっと奇妙な昔のいじめらっこの姿に………男たちの表情は、固くなった。
涼「ふっ……皆さんのおかげで売り上げも上々で、引っ越しするお金がたまりました。もうこの家には帰りません。会うのが最後なので、お礼を言います」
「は………?」
未だ、動揺を見せる3人の男。
俺はというと、ざまぁみろ!なんて心の中で3人を嘲笑ってて。
そして、先生は………
涼「……原稿を台無しにしてくれて、絶望を与えてくれて…どうもありがとうございました」
先生は、礼儀正しく一礼して、顔をあげた。
そして………とっても綺麗な、スッキリした顔で、美しく笑った。
〜完〜
ネタバラシというほどでもないほどのネタバラシ→←「どうもありがとうございました」
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ずみ - 完結おめでとうございます。ありやまの新しい関係性と山田さんの儚い個性と一般人とはいえ一般人では無い世界観に、あっという間に吸い込まれました。他の作品も読ませていただきたいと思います。 (2020年12月13日 11時) (レス) id: 8b98f4e28d (このIDを非表示/違反報告)
楠木りずむ(プロフ) - kanさん» ありがとうございます!気づかなかったですか…!気づいてくれるのも嬉しいし気づかれないのもなんか嬉しいです……!笑 次回作もよろしくお願いします! (2019年4月5日 10時) (レス) id: 9a431af939 (このIDを非表示/違反報告)
kan(プロフ) - 完結おめでとうございます!今回も楽しく読ませて頂きました^ ^まさかメンバー全員の登場!そして裕翔くんの名前にはカラクリがあったなんて…!?全く気づかずに読んでました笑次回作も楽しみにしてます! (2019年4月4日 0時) (レス) id: 7f5ec1a8f4 (このIDを非表示/違反報告)
楠木りずむ(プロフ) - 恋した月さん» ありがとうございます!次回作もよろしくお願いします!笑 (2019年4月3日 22時) (レス) id: 9a431af939 (このIDを非表示/違反報告)
恋した月(プロフ) - すっごく面白かったです! (2019年4月3日 9時) (レス) id: d6f1a4b68b (このIDを非表示/違反報告)
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