「どうもありがとうございました」 ページ30
大貴side
パシャッ……パシャッパシャッ
『皐月先生、今回中島ヒナヤ先生を押さえての受賞、いかがですか？』
涼『………そうですね。そこそこ嬉しいです』
『………そこそこ…？』
涼『そこそこ。』
テレビから流れる、そんな音声。
たくさんのカメラやマイクを向けられてもなお、いつもと変わらないその姿に、俺は額を押さえた。
大「あちゃー……なんでこんなこと言ったんすか…」
涼「ヒナヤ先生押さえてなんて言われたら、嬉しさ半減したんですもん」
発売されて以来、あっという間に世間に広まったあの小説。
デビュー当初から実力を持つ天才皐月涼、革命を起こす！
……なんてメディアでも言われるくらい、ベストセラーとなって。
ついに、わずか25歳にして直木賞受賞という快挙を成し得た。
………にもかかわらず、会見ではいつも通り過ぎる先生。
今回の会見で、初めて世間に素顔を露にし、その美貌から作家王子なんて言われてるけど………
『巷では作家王子と話題ですが、本当にお美しいんですね！』
涼『そうなんですか、ありがとうござ………あ、見てあのカラス、翼傷付いてる…！』
『………………あのー……皐月先生？』
涼『へぇ……翼傷付いてても飛べるんですね…！インスピレーションがわきます！』
大「ホントに何してんの先生」
涼「だって傷ついた翼のカラスなんて滅多に見れないじゃないですか」
だからって記者会見だぞこれ…
先生の先生らしすぎる会見は、その独特の雰囲気が視聴者にまで伝わってくるようなもので。
その美貌と、ミステリアスなオーラ(というか俺からしたらただの変な人なんだけど)から、先生の人気は急上昇だった。
涼「…さっ、片付けしないと。のんびりしてる暇はないですよっ！」
大「いや、俺ただの手伝いだし……」
パンパンと手を叩く先生は、近くにあった大きな段ボール箱を乱雑に俺に持たせて、自分は小さい段ボール箱を両手に持って。
大「俺が重い方持つわけ…？」
涼「もちろんです。……あ、それ壊したら弁償してね」
大「だったら自分で運んでくださいよ…！」
まだまだ段ボール箱に囲まれた部屋のなか、そんな醜い争いをしていた。
……その時。
ピーンポーン………ピンポンピンポーン………
大「うるさっ……はーい？」
涼「待って、自分で出ます」
突如、連続でなり響いたインターホン。
不快に思いながらも出ようとすれば……いつも俺任せにしてくる先生が、珍しく玄関に向かった。
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ずみ - 完結おめでとうございます。ありやまの新しい関係性と山田さんの儚い個性と一般人とはいえ一般人では無い世界観に、あっという間に吸い込まれました。他の作品も読ませていただきたいと思います。 (2020年12月13日 11時) (
レス) id: 8b98f4e28d (このIDを非表示/違反報告)
楠木りずむ(プロフ) - kanさん» ありがとうございます！気づかなかったですか…！気づいてくれるのも嬉しいし気づかれないのもなんか嬉しいです……！笑 次回作もよろしくお願いします！ (2019年4月5日 10時) (レス) id: 9a431af939 (このIDを非表示/違反報告)
kan(プロフ) - 完結おめでとうございます！今回も楽しく読ませて頂きました^ ^まさかメンバー全員の登場！そして裕翔くんの名前にはカラクリがあったなんて…！？全く気づかずに読んでました笑次回作も楽しみにしてます！ (2019年4月4日 0時) (レス) id: 7f5ec1a8f4 (このIDを非表示/違反報告)
楠木りずむ(プロフ) - 恋した月さん» ありがとうございます！次回作もよろしくお願いします！笑 (2019年4月3日 22時) (レス) id: 9a431af939 (このIDを非表示/違反報告)
恋した月(プロフ) - すっごく面白かったです！ (2019年4月3日 9時) (レス) id: d6f1a4b68b (このIDを非表示/違反報告)
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