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大貴side
大「編集長〜………」
『参ったな……〆切明日だったのに』
あれから数日。俺は、泣きつくように編集長に電話を掛けていた。
『まっ、〆切はなんとか伸ばすから、お前はそっちでなんとかしろよ』
大「えっ、ちょ、なんとかって…!!」
……切られた。
今の先生は、なんとか出来る状態じゃないのに……!
……先生のことだから、次の日にはケロッとしてたりして……なんて、甘い考えは通用しなくて。
そりゃ先生にとっては、自分の子供のように大事にしていた小説が全て消えたんだから……ケロッと出来るわけないんだけど。
大「先生、パソコン新しいの買いに行きましょ!」
大「先生、中島ヒナヤ先生の新作買ってきましたよ!」
大「先生ー!晩御飯出来ましたよー!」
………何をいっても、無反応。
過去をやっと話してくれたのは、良かった。全てに辻褄があったから。
先生が自分を実験台にしているのは、捨て子で所詮捨てられる命だったって思いが根付いてのことだと思うし、
病院が好きなのも、医務室に逃げ込んでたからで、
火事の描写のリアリティさは本を燃やされたときの火傷の感覚を思い出していたからだろう。
だけど……その過去を話して以降、何も話してくれない。
ご飯も食べないし、ベッドの上で体育座りをして虚ろな目をしていた。
さすがにここに泊まってる訳じゃないから分からないけど、隈が日に日に濃くなってるから……多分そんな寝てないだろうし。
顔色も悪くなってきてて、トイレに行くときにフラッとすることも増えた。
そりゃ、ご飯も食べず寝ないでいたら……貧血とかにはなるだろ………
……頼むから……なんでもいいから何か食べてくんねぇかな………
大「先生……なにか食べましょうよ。先生、このままじゃ倒れちゃうよ…」
涼「………」
大「先生……」
どうにかして何か食べさせることは出来ないだろうか。
目の下の隈もなんとかしたいし……
どうすれば元の先生に戻るのかな……
何も喋らない先生の座るベッドの隣で、一人悶々と考え込む。
……………その時。
涼「…………あ」
……数日間、一言も発さなかった先生が。
小さく………声を上げて。
涼「……あぁー!!!」
うつむいていた顔をあげて……突如大声を出した。
やはり顔色は最悪だけど………何故か、生き生きとしていて。
……俺はもちろん突然のことに、固まることしかできなくて。
大「せ、先生…………?」
涼「これだ………これだったんだ!!!」
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ずみ - 完結おめでとうございます。ありやまの新しい関係性と山田さんの儚い個性と一般人とはいえ一般人では無い世界観に、あっという間に吸い込まれました。他の作品も読ませていただきたいと思います。 (2020年12月13日 11時) (レス) id: 8b98f4e28d (このIDを非表示/違反報告)
楠木りずむ(プロフ) - kanさん» ありがとうございます!気づかなかったですか…!気づいてくれるのも嬉しいし気づかれないのもなんか嬉しいです……!笑 次回作もよろしくお願いします! (2019年4月5日 10時) (レス) id: 9a431af939 (このIDを非表示/違反報告)
kan(プロフ) - 完結おめでとうございます!今回も楽しく読ませて頂きました^ ^まさかメンバー全員の登場!そして裕翔くんの名前にはカラクリがあったなんて…!?全く気づかずに読んでました笑次回作も楽しみにしてます! (2019年4月4日 0時) (レス) id: 7f5ec1a8f4 (このIDを非表示/違反報告)
楠木りずむ(プロフ) - 恋した月さん» ありがとうございます!次回作もよろしくお願いします!笑 (2019年4月3日 22時) (レス) id: 9a431af939 (このIDを非表示/違反報告)
恋した月(プロフ) - すっごく面白かったです! (2019年4月3日 9時) (レス) id: d6f1a4b68b (このIDを非表示/違反報告)
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