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ページ25

涼介side


…………あの頃のことは、今でも覚えている。

物心ついた頃から、捨て子という……世間で言う可哀想な立場で。

気付いたときにはもう既に、施設で暮らしていた。

自分は捨てられたから、どうなってもいい命なんだ。そう思っていたことを、今でも覚えているし……なんなら今も、そう思っているし。

その頃から本は、今と同じくらい大切なもので……本ばっか読んでいるからか、周りの人からは気味悪がられた。

中でもさっき家に乗り込んできた3人は、特に冷たい視線を送ってきたんだ。

そんな時はいつも、施設内の医務室に逃げ込んで、隠れて本を読んでいた。
それが、唯一の至福のひとときで……いつしか医務室の薬品の匂いが、何よりも落ち着くようになった。


中学生だったある日。
その3人が、ニヤニヤしながら見せてきたのは……一番大切にしていた本で。

涼『返してっ!!』

その叫びもむなしく……その本に、ゆっくりとライターを近づけて、そのままその本は炎に包まれてしまった。

『ぎゃはははっ!!その顔ヤッバ…!!』

『燃えちゃってるねぇ、お前が好きな本が!!』

『ウケる〜!』

……そんな3人の声なんて、もう聞こえなくて。

涼『返してって……言ってるのっ…!!』

………ぱちぱちと、燃える本に。

考え無しに……手を伸ばしたんだ。

涼『あ"あ"あ"ああぁぁぁぁ!!!』

本が。
大切な本が。
これがなきゃ生きていけないのに。
大事な大事な本が。

それしか………考えられなかった。



涼「そのときの火傷です」

有岡くんは、眉間に皺を寄せて……その話を聞いていた。

そして……

大「………ひでぇ………酷すぎます、そいつら」

確かに怒りがこもった一言を、呟いた。

今まで、そんなこと言ってくれる人なんていなくて……かなりビックリした。
それにちょっとだけ、嬉しかった。


…………だけど。

そんなことがあってから、絶対こんなことがないように、それまで以上に大切にしてきた小説なのに…

無惨にも、パソコンは破壊され、原稿はボロボロにされた。

………大切な小説を………守りきれなかった。

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ずみ - 完結おめでとうございます。ありやまの新しい関係性と山田さんの儚い個性と一般人とはいえ一般人では無い世界観に、あっという間に吸い込まれました。他の作品も読ませていただきたいと思います。 (2020年12月13日 11時) (レス) id: 8b98f4e28d (このIDを非表示/違反報告)
楠木りずむ(プロフ) - kanさん» ありがとうございます!気づかなかったですか…!気づいてくれるのも嬉しいし気づかれないのもなんか嬉しいです……!笑 次回作もよろしくお願いします! (2019年4月5日 10時) (レス) id: 9a431af939 (このIDを非表示/違反報告)
kan(プロフ) - 完結おめでとうございます!今回も楽しく読ませて頂きました^ ^まさかメンバー全員の登場!そして裕翔くんの名前にはカラクリがあったなんて…!?全く気づかずに読んでました笑次回作も楽しみにしてます! (2019年4月4日 0時) (レス) id: 7f5ec1a8f4 (このIDを非表示/違反報告)
楠木りずむ(プロフ) - 恋した月さん» ありがとうございます!次回作もよろしくお願いします!笑 (2019年4月3日 22時) (レス) id: 9a431af939 (このIDを非表示/違反報告)
恋した月(プロフ) - すっごく面白かったです! (2019年4月3日 9時) (レス) id: d6f1a4b68b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:楠木りずむ | 作者ホームページ:楠木りずむ  
作成日時:2019年3月8日 18時

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