Daily of Novelist

「“顔見知り”なだけです。」 ページ13

大貴side


なんやかんやとバタバタしていれば、季節は春。

何回か命の危機にさらされた先生も、何事もなかったかのようにリビングにくつろいでいる。

というか、新作の打ち合わせも終わったんだし、仕事して欲しいんですけど。

……………はぁ。

本当に、この人といると時間があっという間に過ぎるというか………内容の濃い生活を送らざるを得なくなるというか。

大「先生、仕事してください」

涼「今考えてるのー」

…………こんな嘘くさい言い方するけど、実際ホントにちゃんと考えてたりするから、ちゃんと怒れないんだよな。


……ピーンポーン


突然聞こえたインターホンに反射的にモニターを見ると、よく見慣れた服を着たキャップ帽の男性で。

…宅配便…？珍しい……

先生のところに物が送られて来ることなんてないし、ネットショッピングなんてしたことないだろうしな……

涼「有岡くん、出てください」

大「え、宅急便ですよ？先生行った方が良いんじゃないすか」

涼「え〜…」

え〜じゃないでしょ。

渋々ソファから立ち上がった先生は、チラッとモニターを見たあと首をかしげて。

涼「……はい？」

「お届けものでーす」

涼「…はい…………」

あまり納得しない様子で、玄関へ向かった。

やっぱり先生にも、お届けものになんの覚えもないみたい。

………あ、もうすぐお昼か。
お昼ご飯くらいは作ってやろうかな。

…って、俺は先生の家政婦かよ……

一人そんなことを考えていると、気づけば玄関から楽しそうな声が聞こえてきて。

「ひっさしぶりじゃん！」

涼「…………はい」

「元気だった？たまたま近く通ったからさ、寄っちゃった」

涼「……、はい」

………よく聞くと、その楽しそうな声とは裏腹に、先生の声はいつも以上に落ち着いた、低い声ということに気づく。

……誰だ………？

思わず不思議に思って、俺は玄関をチラッと覗いてみた。

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