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story24 ページ28

侑李side


響き渡る轟音、散乱する窓ガラス。

窓から、何事かと顔を覗かす人。

トラックは……




…涼介のすぐ後ろで、電柱にぶつかった。

つまり…涼介は、生きている。

涼「…焦ったぁ…死ぬかと思った」

トラックがぶつかった音で振り返った涼介は、そう呟いて肩を撫で下ろす。

僕は…放心状態になってしまって。

涼介がすぐそばで、生きてる。涼介を、助けられた。

安心して体の力が抜けたような感覚がして、ヘナヘナとその場に座り込んだ。

涼「っ知念!大丈夫??」

そんな僕にいち早く気づいて、涼介が駆け寄って両肩に手を置き顔を覗き込んでくる。

涼介のすぐ後ろで事故があったから、涼介の方が怖い思いをしただろうに…

いつも…いつも涼介は、一番に僕の異変に気づいてくれてた。

そのことが、今まで以上に嬉しく感じる。

心配そうに僕を見つめる涼介の顔を見て、肩から伝わる温もりを感じて。

段々と、視界が歪んできた。

…もちろん、涼介は大きな目をさらに大きく見開いて。

涼「えっ、知念っ…!?え〜…?どうした?ケガとかした??」

戸惑いながらもなお、心配してくれる。

今、この時間に、涼介が生きてるんだ。

そう思うと、涙は止めようと思っても止められなかった。

侑「ちがっ…僕…っ、涼介がっ死んじゃうと思って…っ…涼介…っが、いなくなっちゃうって…っ…!」

涼「だぁーいじょうぶ!ほら、俺、生きてるよ??」

ポロポロ零れる涙が、地面を濡らしていく。

そんな僕を安心させるように、優しく柔らかく涼介が笑うから…なんだかもっと、涙が溢れちゃって。

そうだよ、涼介は今、生きてる。

涼「あーあー、泣くなって!泣き止ませようとしたのに…!」

侑「ふぇっ…グスッ…ありがと、涼介…っ」

いつもなら、少し恥ずかしくなってなかなか言えないけど。

今なら素直に言えるよ、涼介。

…涼介は、やけに素直だな、なんて言いながら…また、ふわりと笑った。

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楠木りずむ(プロフ) - 全然大丈夫ですよ〜(*´▽`*)嬉しいです!ありがとうございます!! (2017年7月18日 22時) (レス) id: 9a431af939 (このIDを非表示/違反報告)
伊野尾慧#うえまー(プロフ) - 遅いんですけど、感動しました!(^O^) (2017年7月18日 18時) (携帯から) (レス) id: 63bba7a27a (このIDを非表示/違反報告)
楠木りずむ(プロフ) - 山田Loveさん» そう言って頂けて嬉しいです!ありがとうございます♪ (2017年4月1日 10時) (レス) id: 9a431af939 (このIDを非表示/違反報告)
山田Love - 涼介が生きて終わってよかった〜。  ちぃの素直さ可愛い (2017年3月30日 19時) (レス) id: 938a3d3741 (このIDを非表示/違反報告)
楠木りずむ(プロフ) - 僕ちゃんさん» ありがとうございます!読んでいただき感謝です(*^^*) (2017年3月6日 20時) (レス) id: 9a431af939 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:楠木りずむ | 作者ホームページ:楠木りずむ  
作成日時:2016年11月10日 20時

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