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story12 ページ13

侑李side


思えば、当然の結果なんだ。

僕がいなくなったところで、涼介が忘れ物をしてることなんて変わらないし、車に跳ねられるのだって、僕がいようがいまいが関係ない。

それなのに僕は、涼介を助けようともせずに目を背けて。

…逃げただけなんだ。

侑「ごめん…っ…涼介…僕分かってたのに…っ」

ボソリと、誰にも聞こえないように呟く僕。

今はもう既に、お葬式にきていて。

キラキラとした笑顔を浮かべる遺影…その笑顔が、涙によって歪む。

あの笑顔を、僕は守れたはずなのに。

守ろうとしていたはずなのに。

見捨てたも同然のことを、僕はしてしまった。

侑「ごめん、ごめんね…っ」

涙で顔がグシャグシャなのも、気にしなかった。

悔しい、という気持ちと。

後悔、という2文字が頭に浮かぶ。

必ず時間が戻るなんて、そんな根拠どこにもないじゃない。

もしこのまま戻らなかったら…

それも、ありえないことじゃないんだ。

でも、お願い。

チャンスをください。

次は絶対に見捨てたりなんかしない。

守るって、約束するから…



また、まるで瞬間移動したように火葬場に移動していた。

もはやこの現象にも、なんの疑問も抱かなくなってきている。

「そろそろ、お別れの時間です」

相変わらず、安らかな顔をして眠っている涼介。

真っ白な整った顔立ちは美しく、まるで人間じゃないものに見えてくる。

最後に僕が言った言葉は、なんだっけな。

あまり覚えてないけど、恐らく朝に、何気なく言った言葉だろう。

なおさら、一緒に帰ればよかったと後悔する。

最後のときくらい、一緒にいたかった。

しかも僕は、涼介の運命を知っていたのに。

会えなくなってしまうのは分かっていたのに。

何も言ってあげられなかったね。

涼介の頬に触れると冷たくて、死を再確認させられた気がした。

侑「ごめんね…」

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楠木りずむ(プロフ) - 全然大丈夫ですよ〜(*´▽`*)嬉しいです!ありがとうございます!! (2017年7月18日 22時) (レス) id: 9a431af939 (このIDを非表示/違反報告)
伊野尾慧#うえまー(プロフ) - 遅いんですけど、感動しました!(^O^) (2017年7月18日 18時) (携帯から) (レス) id: 63bba7a27a (このIDを非表示/違反報告)
楠木りずむ(プロフ) - 山田Loveさん» そう言って頂けて嬉しいです!ありがとうございます♪ (2017年4月1日 10時) (レス) id: 9a431af939 (このIDを非表示/違反報告)
山田Love - 涼介が生きて終わってよかった〜。  ちぃの素直さ可愛い (2017年3月30日 19時) (レス) id: 938a3d3741 (このIDを非表示/違反報告)
楠木りずむ(プロフ) - 僕ちゃんさん» ありがとうございます!読んでいただき感謝です(*^^*) (2017年3月6日 20時) (レス) id: 9a431af939 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:楠木りずむ | 作者ホームページ:楠木りずむ  
作成日時:2016年11月10日 20時

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