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エピローグ ページ1

近代的な高層ビルに煉瓦造りの建物等が建ち並ぶ港湾都市・ヨコハマ。またの名を『魔都・ヨコハマ』。何時か誰かが名付けた別の名称だ。
何故そんな名称をヨコハマに付けたのか。
其れは、楽しそうな笑い声が聞こえ、笑顔が溢れる明るい昼間とはうって変わり、悲痛な叫び声が響き渡り、恐怖に満ちる、闇に飲まれた夜が訪れるからだ。
そして、そんなヨコハマの長い夜は始まったばかりだった───。
其の日の夜は雨が降っていた。大雨だ。
ザーザーと小さな雨粒が地面に叩き付けられる大きな音に、何発とも渇いた銃声が紛れた。
港近くの錆び付いた倉庫が建ち並ぶ、倉庫街からだった。
其処には、傘もささず、ずぶ濡れの、サングラスをかけ、黒いスーツを身に纏った屈強な男が大勢居た。彼等の片手には、銃が握られている。
銃声を響かせていた正体は、ポートマフィアの構成員だったのだ。
構成員達の銃の矛先には、一人の傷だらけの少女。
少女もまた、彼等と同じく、傘をさしておらず、長い黒髪に小さな雨粒が付いては落ちていく。
「撃て!彼奴を瀕死状態にするまでだ!!」
構成員の後ろから荒い声が聞こえる。
其の声の主は、構成員の後に仁王立ちで立つ小柄で個性的な青年だった。
其の青年は、黒の長外套を羽織り、処々に赤いしみが付いた三ピースと黒いズボンに身を包んでいる。
褐色の癖ッ毛の上には、黒帽子が被られていた。
其の奥の顔は、時折、痛みに歪まれる。
ポートマフィア五大幹部、中原中也。
中也が命令したと同時に構成員達、中也の部下達は少女に向けて持っていた銃から銃弾を放つ。
対する少女は、逃げる事も避けることもせず、唯ぼうっと突っ立ったまま、構成員達の銃から放たれた数えきれない程の銃弾を受ける。
構成員が銃弾を撃ち終わった数秒後、少女は身体から赤黒い血を出しながら、うつ伏せに倒れた。
地面に拡がっていく少女の血は、雨によって港から海に流されていく。
「……やったか?」
無意識に呟きながら、中也は部下の肩を借り、先程倒れた少女に近づく。
息も浅く、動く気配の無い少女に、中也は安堵の息を漏らす。
「此奴を本部まで連れて……」
中也が部下に指示を下そうとした時、中也の目が見開かれた。そして叫ぶ。
「未だだッ!未だ此奴は……」

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作者名:123 | 作成日時:2022年2月18日 17時

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