＊ ページ16
.
「…どういう事ですか先生。
そっちの方法だと無事って、」
意味わかんないと言わんばかりに逢沢が聞くと、得意げにせんせは笑う。
「嗚呼、その方法だとお前らは今からでもここを出ることが出来る」
あんなに景山の死んだ理由を見つけろって言ってたせんせが私達をそんなすぐに解放？
そんな簡単な方法ある？
「なんだよその方法って！」
「聞きたいか？教えてやるよ。
それはな……
………Aが今ここで俺と死ぬ事」
……………は？
一瞬でみんなの視線は私に注がれる。
何、言い出すかと思えば。
せんせ、頭がいかれたんじゃないの？
「これがお前らが今脱出出来る唯一の方法だ。
お前らは此処から出れるし、俺は念願のAと死ぬ事が出来る。
悪い話じゃないだろ？」
しんっと静まり返る教室。
誰一人として、私から視線を外さない。
……やめて、やめてよ。
死にたくないよ、私。
というか、私の人権とは……？
私に拒否権とは……？
「………清水さんが死ねば、みんな助かる……」
そんな静寂の中響いた声。
私の事が嫌いなのは知ってたけど、ここまでとは。
「……っざけんじゃねえよ！！！
なんでAが死ななきゃなんねえんだ！！」
「でも里見、そうすればお前も助かるんだぞ？」
「知らねえよ！！なんで俺がAを見殺しにすると思ったんだよ、馬鹿じゃねえ？
しかも、お前とAが心中とか真っ平御免だわ！！！」
そんな海斗の言葉に私の瞳から涙が溢れる。
なんて素敵な人と私は付き合えてるんだろう、と。
「……沙良、私あんた許さないからね。
私もAが死ぬの反対。大事な子見殺しに出来ないのは当たり前でしょ？教師のくせにそんなのもわかんないの？
伊達に私達親友やってないから」
唯月が花岡さんを一瞥した後せんせに言う。
その言葉に涼音や愛華も同調する。
「……じゃあ、お前らは茅野が死ねばいいって思ってんのか？自分達は脱出できないけど？
ははっ、お前ら揃いも揃ってクズだなぁ！！！
自分が助かれば、自分の大事な人が助かれば、他人がどうなってもいい！いかれてるねぇ〜。
どうしてそんな貧しい考えがうまれるのか。
モラルの欠如、アイデンティティの拡散！
要は、中身がからっぽなんだよ！！
お前達はさっきの茅野を見てなんも思わなかったのか？
景山の死から目を背けた自分を奮い立たせて、向き合おうとした茅野をみても何も思わなかったのか？
お前らがAを大事に思ってんのは分かるよ。
……それは俺もだからな」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 663人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
stm - この小説大好きです！更新頑張って下さい！楽しみにしてます！ (2019年3月11日 18時) (
レス) id: 3c3aa41225 (このIDを非表示/違反報告)
美紀 - このドラマ大好きなのであと大好きな涼太君が出てるので最高ですオチ涼太君がいいです (2019年2月14日 14時) (レス) id: a31ea93868 (このIDを非表示/違反報告)
sanapen - 面白いです！！！これからも更新待ってます！！！！！ (2019年2月6日 19時) (レス) id: 6d2d50bb72 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：栗本ちゃん 。 | 作成日時：2019年1月31日 22時
