まったり二人きり ページ47
｢ゾム〜、あれ？いないのー？｣
借りてたDVDをテーブルの上に置いて、とりあえず部屋をひとつひとつ確認する。
どうやらゾムは、お風呂に入ってるらしい。
用のついでに構ってもらおうと思ってたから、そのまま帰るのも嫌で出てくるまで待ってることにした。
｢暇だ…｣
ソファに転がって、天井を仰ぎながら
きっと早く出て来てなんて催促したら一緒に入ろうとか言ってくるんだろうなぁ…と想像する。
嫌じゃないけど私もう入っちゃったし、ゾムと入ったらのぼせちゃうし、のぼせたら困るからやっぱり大人しく待ってた方がいいや
いや、それとも出直してアイスでも買ってきてあげようかな
お風呂上がりに｢はいどーぞ｣って語尾にハートマークつけながらアイス貰えたら、可愛い！ってなるし超超超嬉しいもんね！
少なくとも私が彼氏だったら絶対そう思う！
でも、もうソファに根が張ってて動けないや…
結局いつも通りのそんな自分。
｢ゾムまだかなぁ｣
ソファの背もたれに掛けてあった服を、何と無しに手に取って広げてみる。
｢大きい…｣
どれくらい大きいのか気になり、ジップパーカーで着脱しやすい服だったこともあって袖を通してみた。
｢ふふっ、ゾムの匂いがする｣
大好きな人の匂いに包まれて、思わず口が緩んでしまう。
指先まで隠れてしまうくらい長い袖を口元に持ってきてスンスンと匂いを嗅いだり、 頬擦りしたり、自分を抱き締めてみたりと、次々に好き放題する私。
そのとき、 ｢ンﾞッ…！｣という喉が詰まったときのような声がして、反射的にビクッと肩が跳ねた。
声の方に首を向ければ口元を押さえて立っているゾムの姿が見える。
｢え、え、ゾム？吐きそうなの…？｣
｢ちゃうよ！｣
｢だって口押さえてるから｣
｢耐えてたの！俺の服着て嬉しそうにしてるAが可愛かったの！言わすなよ！｣
｢えっ、あ…｣
その瞬間、一気に体温が上昇して顔が火照った。
本人の目の前でなんてことしてるんだ自分！
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作者名：ねこ丸 | 作成日時：2019年3月26日 13時
