ケモミミ ページ44
次にやってきたのは、通路を塞ぎかねない程大きい熊！
｢も、もしかしてトンちゃん？｣
大きな熊は、首を縦に振った。
｢か、かわいい…！！｣
これは、もはや熊じゃない！熊さんだ！！
たまらずその大きな体に抱きつくと、大きな手が私の背中にそっと添えられた。
｢ふわぁぁ…最高！｣
しかしゾムは、それを見ていて面白くなかったのか、私の服を噛んで引っ張り出そうとしてくる。
｢ちょ、服伸びる！｣
｢ｸﾞﾙﾙﾙﾙ…！｣
強引に引っ張り続けるので服が伸びて肩とかお腹とかが露出し始めたのをきっかけにトントンが手を離した。
｢離してよゾム！わぁーー！｣
それでもゾムは、引っ張るのをやめない。
私は、引き摺られながらゾムに連れていかれた。
着いたのは、ゾムの部屋だった。
開けろ開けろと扉をガリガリ引っ掻くので、仕方なく開けてあげるとまた服を引っ張られて部屋の中に引きずり込まれた。
｢なんなのもう…｣
服は、もうよれよれだった。
｢ゾム！いい加減にしないと怒…わっ！｣
床に押し倒されて、逃げられなくなる。
そして次の瞬間、真っ白な煙が視界を覆った。
何も見えなくなった状態で戸惑っている私の手首を誰かが掴み床に貼りつける。
徐々に晴れていく煙の中から狼の尖った耳を頭に生やしたゾムが見えてきて、それと同時に手首を押さえつけている犯人もゾムだと分かる。
｢離してゾム！｣
｢やっと人に戻ったわ｣
｢耳まだ残ってるけど…｣
｢ん？｣
ゾムは、用心深く私の手をひとつに纏めると片手で押さえつけ、空いた手で自分の頭を確かめていた。
｢ほんまや｣
｢な、なんで離してくれないの？｣
｢逃げるやろA｣
｢逃げないよ、起き上がりたいだけ｣
｢嘘は、あかんよ｣
射抜くような目で見られ大きく心臓が跳ねる。
ゾムからいつものふざけた様子が一切感じられず、私の中で異様な緊張が増していった。
｢見た目がいくら動物でも、Aが抱き着いた相手は、男やんな｣
｢ト、トントンは、仲間だし｣
｢ノーカンなんてことないやんな、恋人が目の前におんのにあんなことして悪い子やと思わん？｣
｢ごめん…まさかこんなに怒るなんて思ってなくて｣
｢怒る？ちょっとちゃうよ｣
首に牙が当たり、熱い息がかかる。
肌を傷つけないように優しく滑っていく牙が擽ったくて身じろぎをするとゾムが楽しそうに笑った。
｢嫉妬してん｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 189人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ねこ丸 | 作成日時：2019年3月26日 13時
