幽霊彼女 ページ39
墓参り当日
Aもついて来ることになった。
自分の墓石見て嫌な気分になったりせえへんのか聞いたら、何度も見てるし見ても特になんとも思わないらしい。
メンタル鋼すぎやろ。
Aが現れて以来、来てなかった場所。
やっぱり墓石の前に立つと、Aがいなくなったことを改めて実感させられる。
今は、幽霊そばにおるやんって話なんだけど、その感覚は変わらんかった。
｢Aさん、今頃天国でなにしてるんでしょうね｣
｢さぁ…我儘やったからなー、地獄に行かされたかもしれへんで｣
｢Aさんで地獄行きやったら、世の中の人間みんな地獄行きっすよ｣
｢…違いないわ｣
｢今でも好きですか？｣
｢今日は、えらい突っ込んでくるねショッピくん｣
｢せっかくなんで聞いておこうと。ゾムさん自分のことあんまり話さないんで｣
チラッとAに目を向けると、こっちも聞きたそうに目をキラキラさせて待っている。
多少言いづらさを感じたものの、言葉は口をついて出てきた。
｢好きやで｣
Aは、嬉しそうにクルクル回った。
かわええな。
｢そうですか…。Aさん、幸せ者ですね｣
｢…。｣
｢きっと天国で笑ってますよ｣
｢ショッピくんは、もしかして俺の事慰めに来たん？｣
｢いや、違いますよ。だってゾムさん、もう大丈夫でしょ｣
情けない事この上ないが、ショッピくんを見るに思ったより心配させてたらしい。
｢ありがとうな｣
ショッピくんは、小さく笑って頷いた。
もう大丈夫、か。
Aのおかげやな。
そんなことを考えてる最中に息を吸い込む音が聞こえてきた。
｢凄く大事なこと、思い出したかも｣
一点を見つめながらAが言う。
｢私の存在理由｣
｢え、マジか｣
｢ゾムさん？なにか言いました？｣
｢あ、いやなんでもないで、帰ろか｣
あとで聞く、とAに目配せしておく。
妙なタイミングで思い出してくれたせいで俺には、なんとなく予想がついていた。
当たってないとええんやけど…。
部屋に戻って、お茶を入れてひと息つく。
｢さ、いつでもええで｣
｢そんな畏まらなくても｣
｢いや、なんとなく分かってんねん｣
｢ほんと？凄いねゾム！テレパシー？｣
｢ええからはよ言えや｣
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作者名：ねこ丸 | 作成日時：2019年3月26日 13時
