自分よりも ページ20
｢へっくしょい！！あﾞーー｣
｢おっさんかて｣
｢言い返す気力もないよ｣
｢俺もしんどいから突っ込ますのやめてくれへん？｣
｢ほんとなんで2人同時に風邪引いたの…｣
｢わーい、仲良しや｣
｢どっちかが引いて、どっちかが看病するっていう、甘々な展開が望ましかったのに…｣
｢あーいいなそれ、弱ってるAを俺の注射で｣
｢黙れ｣
違う、そうじゃない。
彼氏に優しく看病されるのは、私の夢なんじゃい！
体が強くて風邪引かない子だったからチャンスだったのに、なんでゾムまで引いてんの！
それをなに楽しそうに…
はぁ…頭痛が痛い。
｢もっと詰めてよゾム｣
｢えー落ちるもん｣
｢落ちないでしょ、こっち狭いんですけど｣
｢訂正する。寒いねんもん、Aにくっつきたい｣
｢うそ、熱上がるんじゃない？｣
ぺちっ、とゾムの額に自分の手を乗せる。
｢熱い…｣
｢あーAの手気持ちい…｣
｢私の手も充分熱いはずだけど…｣
冗談ばっかり言ってる割には、ゾムのが重症かもしれない。
｢ペ神呼ぶ？｣
｢ええよ、さっき薬も飲んだし｣
｢でも、｣
｢A…｣
｢うん？｣
｢沢山汗かいたら治るで…とか言って襲いたいけど、頭痛すぎて無理や、ごめんな｣
｢大人しく寝とけよ怒るぞ｣
｢口悪いなぁA｣
｢ふぇっくしょい！！！っあﾞーーー！｣
｢やから、おっさんかて｣
ゾムと漫才するのは、楽しいけど…
くしゃみの反動でそろそろ頭痛がヤバい。
生理的な涙がスっと目尻の方に落ちた。
｢A、辛いん？｣
｢大丈夫…｣
｢ちょっと待っててな｣
ゾムは、ベッドから出るとフラフラした足取りでベッドルームから姿を消した。
そして、待つこと数分。
帰ってこず…。
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作者名：ねこ丸 | 作成日時：2019年3月26日 13時
