「ちゅーしていいっすか?」E ページ2
「イワシの群れだ」
「おぉ、綺麗だねぇ」
大きな水槽の中で泳ぐたくさんの魚達。
周りから「サメだ!」「綺麗な魚だ!」などと主役的要因を讃える声が聞こえる中、私達はイワシの群れで話題が持ちきり。
「なんでイワシは群れで行動するんだろう?」
「んー、ちょっと待って……あぁ、大きい捕食者から身を守るためだって」
そう言って瞬時にググったのであろうスマホの画面を傾けて見せてくれる。
二人頭を寄せて一つの画面を覗き込む。
「大きいのがいないとバラバラなんだね」
「危機感のなさ」
クスクスと笑い合いふと視線を外すと魚の名前や説明が書いてある掲示板が目に入る。
「調べなくてもあれに書いてあったね」と言うと彼もそちらに視線を向け、今読んだのと同じような文に「本当だ」と眉をハの字にする。
もう一度イワシを見ようと水槽に視線を戻すとちょうど飼育員さんが水中に降りてきているところで、イワシの群れと遭遇する。
飼育員さんを纏うイワシ達が天井からの光に照らされてキラキラ輝く。
浮上していく泡も相まって「宇宙みたいだね」と無意識に言ってしまう。
なんだかそれが気恥ずかしくなってしまい慌ててごまかす。
「なんかふぶちゃんみたいなこと言っちゃったね」
「ふふ。そうかもね」
手を繋いだままお互いに水槽を見上げてしばし無言になる。
苦ではない。むしろ居心地のいい無言の空間。
お互いに気を許せている気がして私は好きだ。
「Aちゃん」
「なんですかー?」
「ちゅーしていいっすか?」
「え?えおく…ん」
私の返事の前に軽く唇が触れてすぐに離れる。
繋いだ手にぎゅっと力が込められてからもしばらく目の前の水槽から目が離せなかった。
154人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
有馬(プロフ) - クガさん» コメントありがとうございます。色気ムンムンな先生が好きなので伝わっていたならうれしいです(^^) (2019年6月19日 12時) (レス) id: adf3e71480 (このIDを非表示/違反報告)
クガ - 先生の色気がヤバすぎる( ˘ω˘ ) (2019年6月16日 13時) (レス) id: f58410126e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:有馬 | 作成日時:2019年6月16日 2時