残念な人 ページ5
「ジミンはさ、」
『ん？』
渡された水を飲んで、少し落ち着いた私。
はあ。なんか、酔いも覚めてきそうじゃん。
「なんで、恋しようと思わないの。」
『ふふ、なに急に。』
「…だって、ジミン、モテるじゃん。
恋愛したら、いい家庭築けそうだけ……あ、ごめん。」
ジミンに向かって何言ってんのわたし。
自分が言ってしまったことに、少し顔が火照ったのがわかった。
『あはは、ありがと。でも俺は今はいいかな。』
「…なんで？」
『まあ女の子には困ってないし？』
少し微笑みながらそんなことを言うジミンに「聞かなきゃよかった…」といえば、
声を出して笑いながら、「Aは知ってるでしょ。」なんていうジミン。
まぁ、知ってたけどさ。
もう…残念な人なんだから。
高校までは優等生キャラだったのに。
『あ、今日泊まっていくよね？』
「えっ？」
不意に聞かれたことに驚いて、思わず固まる私。
泊まる…
…ジミンは単に私に気づかって聞いてるだけ。
ただ、ジミンが言うと少し疑ってしまう自分もいて…。
至って真面目な眼差しのジミンとぱち、と目があって、
ジミンは理解したかのように「あー、」と頷いた。
『流石に何もしないからね？違うとこで寝るし。』
「あ、いや、…女の子とかくるんじゃないかって思って」
ジミンに言われて、そんなことを想像してしまっている私がなんとなく恥ずかしくて、咄嗟に違うことを言った。…まあ、嘘ではないよね。
『あぁ、最近呼んでないからさ。』
「あっ、そうなんだ。」
ジミンの口から出てきた意外な言葉に少し驚く。
…ホテルとかってこと？
まあ、私が考えるようなことじゃないし。
続く
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作者名：りん | 作成日時：2022年6月1日 23時
