【祝完結】そして彼に惹かれていった【再始動番外編】

惹かれた＿8 ページ8

「着いたよ」

車の鍵を取り、トートバッグに入れて持ったゼル

助手席に座っていた僕の方まで回ってきて、ドアを開けてくれた時は泣くかと思った

完全にエスコートされてることに喜べばいいんだか悲しめばいいんだか

少々複雑になりながらも、水族館を楽しもうと再度気合いを入れ直した


「綺麗」


太陽の光を反射し、魚の群れがきらめきながら泳ぐ巨大な水槽の前にある銀色の手すり

そこに手をかけ、思わずと言えるほど小さく呟いた

暗めのライトに照らされた暗い水族館の中、水色に光る水槽に照らされ、あの綺麗な横顔がはっきりと見えた

綺麗

僕も思わずそう呟きそうになった

本当に綺麗だと思ったから

このままずっと見ていたら気づかれそうで、視線をそらすように水槽の方へ向けた


「ねぇ、ジン」

「どうしたの？」


声をかけられて気づかれていたのかとどきりとしたが、そちらを振り向くと水槽から目を離さぬまま

気づかれていないことにほっとする


「綺麗だよね、お魚って」

「そうだね」


きらきらしてる、そう言ったゼルがこちらを向いて微笑んだ


「ねぇゼル、イルカショーあるって」


綺麗な微笑み

綺麗な満面の笑みにしたい

綺麗な三日月から綺麗な満月をイメージしつつ、そう声をかける


「見に行かない？」


うん、と元気よく返事したゼル

この笑顔を次は満面の笑みにするべく、イルカショーのステージへと足を進めた

いつかみんなで来れるといいな

もちろんゼルももういっかい

次は7人分の笑顔を

僕はね、大好きな人の笑顔が大好きなんだ

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