堂々とした侵入者 ページ6
目的地である施設まで歩ける範囲まで来た為一度車を降りる。施設の周りは森。暗い森の中をショッピさんを先頭に潜り抜ける。一時間ほど歩いてやっと目的地にたどり着く。森の中ひっそりとそびえ立つ建物は夜と言うこともあってどこか不気味だ。
「じゃあ、チーノさん後は頼みましたよ。」
「おん。隊長殿の検討祈っとるな」
チーノとショッピさんは別々の方向に歩き出す。どっちについて行けばいいか分からず焦る私を見てチーノが笑う。
「Aは隊長についていけばいいんやで」
「チーノは一人で大丈夫なの?」
「逆に俺の異能から考えたら一人の方がええからな」
ポンっと肩を叩いて隣を通り過ぎていくチーノ。任務は三人で協力して行くものばかりと思っていた私にはこんなあっさりとした別れが不思議であった。ショッピさんはその間にも全く待つ気配はなくスタスタと歩いてしまっていた。
「ま、待ってください…!」
私は全速力で彼を追いかけた。
施設はどこか牢獄を連想させる作りであった。最先端の研究をしているという割にはボロボロであるし、どこか生臭い。ショッピさんは的確に見回りの位置を把握し敵にエンカウントしないように歩みを進める。私はその後ろで使えない銃を握りしめているだけだ。
そして突然ショッピさんが止まる。思わず彼にぶつかってしまったがそれで倒れるような軟弱者ではなかったらしい。そっと彼の手を確認すると私の方に手のひらを向け掻き出すように動かす。いくつか教えてもらったハンドサインの中の一つ。このサインは"下がれ"だ。
私は迷わず彼のハンドサインに従う。
そして私が一歩下がったその時、
ダダダダダダッ
銃声が雨のように降り注いだ。
「チッ。何で見つかったんや…?」
「こ、腰が抜ける…」
「ええから走れ!このまま止まったら蜂の巣やぞ!」
さっきまで私のいたはずの壁にはドデカイ穴が空いていた。思わずガン見していると首根っこをショッピさんに掴まれ走る。
「こ、こんな急に、襲われることなんてっあるんですか…ッ?」
「そりゃああるわボケッ」
どうやらショッピさんは窮地に立つと口が悪くなるみたいだ。
もう発見されたのだからと大胆になったショッピ隊長は堂々と施設の人間を見つけては拳銃で撃つ。走りすぎて今自分たちが施設のどの位置に存在してるのかすら分からないが最初に聞こえたマシンガンのような音は一度きりだった。何か私達を追いこんでいるようなやり方に得体の知れない不気味さを感じた。
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鳩山(プロフ) - えみさん» コメントありがとうございます。懸命に生きる2人と彼らの話を素敵と言っていただき本当に光栄です…!最後までご愛読ありがとうございました! (2021年2月20日 16時) (レス) id: 9ca89ee33d (このIDを非表示/違反報告)
えみ - rbr推しですがshaちゃんとくっついて欲しいと思ってしまう程の作者様の文才に引き込まれました…!とても素敵な話でした! (2021年2月19日 17時) (レス) id: 1597543406 (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - ブンブンさん» ブンブンさん!以前もコメントして下さいましたよね?本当ありがとうございます…!良かったら番外編でもよろしくお願いします…!最高に嬉しい言葉を本当にありがとうございました! (2019年11月11日 0時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
ブンブン(プロフ) - 完結おめでとうございます!貴方の作品に出会えて本当に良かったです! (2019年11月10日 23時) (レス) id: 4a511d68cf (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - kogarashi343gooさん» コメントありがとうございます!本当に嬉しいお言葉ばかりで私からも感謝させてください!すごく励みになります…!今後は番外編然り、別作品然り、更新頑張っていくつもりですので今後ともよろしくお願い致します! (2019年11月10日 22時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
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