私とあなた ページ41
ケーニヒが嘆く中、私はケーニヒよりも彼女が気になった。彼女はグルッペン達が現れてもなお顔色一つ変えずただ佇んでいるのだ。
トントンさんはそんなケーニヒの声を無視し、粛清剣を彼に突き付ける。
「部下がいくら優秀でも上司が無能やったら意味ない。…無能のお前らしい最期やな。」
「な、や、やめろ…！ひ、卑怯だぞ！」
「人質とって、罪もない人間を痛みつけてきたお前に卑怯なんて言われたないねん。はよ死ねや」
「ヒィッ！」
トントンさんは粛清剣を振り下ろした。しかし、
「ケーニヒ。みっともなく騒ぐのはやめなさい。」
右手を前に出した彼女がそれを邪魔する。トントンさんの粛清剣は見る影もなく消えてしまったのだ。
「…異能をコピーする奴も居れば、また変なのがおるな。ほんまに部下だけは有能なことで」
トントンさんは私にそっくりな彼女を見ても狼狽ることはなかった。
「"A"！やはりお前だけが、俺の！最高傑作だ！」
「うるさい。私はあなたの指示は聞かないわ。──インクディション」
彼女がそう呟くと、トントンさんの手から消えたはずの粛清剣が彼女の手の中に収まる。
「さよなら、
そして彼女が投げた剣が、深くケーニヒを貫いた。
「ぐはっ」
口から血を溢し、崩れるケーニヒ。彼女の瞳には何も写していない。
「一体、どういうことだ？こいつはお前にとって大事な"王"ではないのか？」
グルッペンさんの質問に対して彼女は答えない。
「"答えろ"」
「…私は誰の言うことも聞かない。誰も信じない。それが答え。質問には答えた。次はあなたの番。──インクディション。"地を這え"」
グルッペンさん、トントンさん、コネシマさんが三人とも床に頭をつける。今この場で立っているのは私と彼女だけであった。
彼女は立ったままの私を見ても驚くことはなかった。私が彼女を同じと思ったように彼女もまた理解したのだろう。
私は側にいたコネシマさんに触れて、「リジェクション」と唱えた。するとコネシマさんだけ動くことが可能になる。私の能力が"私"のお陰でやっと理解できた。
「コネシマさん。お願いがあるの。私を、あの子の元へ連れて行って。あの子を止められるのは…私しかいない。」
コネシマさんのブルーアイはしっかりと私を見つめて、渋々と言った様子で私の首根っこを掴む。そして彼女のいる足場へと私を連れて行ってくれた。
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鳩山(プロフ) - えみさん» コメントありがとうございます。懸命に生きる2人と彼らの話を素敵と言っていただき本当に光栄です…！最後までご愛読ありがとうございました！ (2021年2月20日 16時) (
レス) id: 9ca89ee33d (このIDを非表示/違反報告)
えみ - rbr推しですがshaちゃんとくっついて欲しいと思ってしまう程の作者様の文才に引き込まれました…！とても素敵な話でした！ (2021年2月19日 17時) (レス) id: 1597543406 (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - ブンブンさん» ブンブンさん！以前もコメントして下さいましたよね？本当ありがとうございます…！良かったら番外編でもよろしくお願いします…！最高に嬉しい言葉を本当にありがとうございました！ (2019年11月11日 0時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
ブンブン(プロフ) - 完結おめでとうございます！貴方の作品に出会えて本当に良かったです！ (2019年11月10日 23時) (レス) id: 4a511d68cf (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - kogarashi343gooさん» コメントありがとうございます！本当に嬉しいお言葉ばかりで私からも感謝させてください！すごく励みになります…！今後は番外編然り、別作品然り、更新頑張っていくつもりですので今後ともよろしくお願い致します！ (2019年11月10日 22時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
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